3【対処すべき課題】

 

現在当企業グループでは、経営資源の戦略的な再配分を通じて、収益機会の極大化とさらなる経営の効率化を図り、より強固な経営基盤を備えた総合金融サービスを提供する企業集団への進化を目指しております。

 

アセットマネジメント事業においては、引き続きファンド募集を通じて成長性が高いと思われる企業等への投資活動を拡大する予定であります。具体的には、企業再生ファンド及びバイオファンド等を通じて、それぞれ早期再生が見込める企業及びバイオ関連のベンチャー企業等への投資を行う計画であります。これら新たな領域への事業展開については、今後積極的に経営資源を投入し、早期に投資先及び当社の企業価値等の向上につなげてまいります。

 

ブローカレッジ&インベストメントバンキング事業においては、他社と競合しながらも継続的な成長を実現させていくために、今後更に商品・サービスを向上させるとともに、既存の事業を拡充し収益源を多様化させることが不可欠な状況となっております。また、傘下のイー・トレード証券株式会社とワールド日栄フロンティア証券株式会社やフィデス証券株式会社の証券子会社間のシナジー効果を極大化させるとともに、相互の業務システムの効率化等を推進していく必要があります。

 

ファイナンシャル・サービス事業においては、金融イノベーターとして金融業界において事業展開を図る上でブランドの確立がきわめて重要な戦略課題であります。金融事業自体に信頼と信用の証としてのブランド力が要求されるのみならず、直接的に顧客が見えないネットビジネスを展開する上で、ブランドは顧客獲得における強力な差別化要因になります。また、事業を展開する上で外部金融機関等との共同事業等は有効な手法であり、このような手法を効果的に推進する上でのブランドの早期確立が重要であると考えております。

 

また、当企業グループを通じた課題として、事業の拡大に伴ってますます専門化・高度化する業務に対し、優秀な人材の確保とそのスキルアップを通じて投資判断能力、顧客へ提供するサービスの質等の継続的な向上を図ることが重要であるとの認識のもと、様々な採用活動とOJT・社内教育等による社員のレベルアップを進めてまいります。

社員の能力開発については、「キャリアオープン制度」を導入し、「社内公募制度」、「自己申告制度」等を通じて社員個々によるキャリア開発を促進すると共に、人材を適材適所に配置し組織の活性化を図っております。

 

4【事業等のリスク】

 

当企業グループの事業その他に関するリスクについて、投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、必ずしもかかるリスク要因に該当しないと思われる事項についても、積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。当企業グループは、これらの潜在的なリスクを認識した上で、その回避ならびに顕在化した場合の適切な対応に努めてまいります。

なお、本項には将来に関する事項が含まれますが、当該事項は有価証券報告書提出日(平成16年6月23日)現在において判断したものであります。

 

<アセットマネジメント事業>

(1)ベンチャー企業及び再生企業への重点投資について

当企業グループ及び当企業グループが運営するファンドからの投資先はベンチャー企業や企業再生のためのリストラクチャリングを必要とする企業が多く含まれます。これらの企業は、その将来性において不確定要因を多く含む傾向が強く、今後発生し得る様々な要因により投資先の業績に影響を受ける可能性があります。かかる要因には以下のものを含みますが、これらに限定されるわけではありません。

[1] 政治・経済・産業等の状況や投資先の内部要因(開示されていないオフバランスシート負債等)のような当企業グループがコントロールできない外的要因

[2] 急激な技術革新の進行や業界標準の変化及び投資先企業における競合の発生・激化

[3] 新規公開を含む株式市場全般の動向

[4] 投資先における優秀な経営者・人材の確保

[5] 投資先の財務基盤の弱さ

 

(2)業績の変動について

当企業グループにとって保有株式の売却によるキャピタルゲインが業績に与える影響は極めて大きく、経済環境や新規公開を含む株式市場全般の動向等に大きく影響を受け、これら当企業グループのコントロールの及ばない外部要因により業績が大幅に変動し、当企業グループの事業全体の展望に大きな影響を与える可能性があります。

 

(3)競合について

ベンチャー投資や企業再生型の投資事業は新規参入を含めた競合が激しい分野であり、国内外の金融機関・事業会社等による多数のファンドが設定される状況下、当企業グループの競争力が将来にわたって維持できる保証はありません。競合優位を維持・向上させる施策にもかかわらず、画期的なサービスを展開する競合他社の出現や競合先同士の合併・連携その他の結果、当企業グループが企図する十分な規模のファンド募集を適当な時機に実施できない、あるいは投資実行において十分な収益を獲得できる単価・金額規模での投資が実施できない等の結果、当企業グループの収益が低下する等の影響が生じる可能性があります。

 

<ブローカレッジ&インベストメントバンキング事業>

(1)競合について

株式等の委託売買業務を行う証券会社間での競争は激化しており、今後、他業種や外資系企業の新規参入など、より厳しい競争が予想されます。また、競争の激化に伴い、新たに顧客を獲得するために必要な1人当たりの限界費用が増加することなどにより、当企業グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)株式市場の動向などの外部要因について

  当企業グループの営業収益の多くを占める株式委託売買手数料は、株式市場全体の売買高等の動向に強い影響を受けます。株式市場は企業収益、為替・金利動向、国際情勢、世界主要市場の動向、ならびに投資家心理等の様々な要因の影響を受け、一般的に株価が下落すると売買代金も縮小する傾向があります。今後、株式市場が活況を続ける保証はなく、株価の下落とともに売買高が減少した場合、当企業グループの業績に悪影響を与える可能性があります。また、政府は証券市場にかかわる制度改革を推し進めており、将来における法改正等の内容によって当企業グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。

 

(3)信用取引について

当企業グループの収益源のひとつである信用取引においては、顧客への信用供与に伴うリスクが顕在化する可能性があります。すなわち、顧客が信用取引で損失を被ったり、代用有価証券の担保価値が下落するなどした場合、証券会社に対して顧客が預託する担保価値が充分でなくなる可能性があります。当企業グループは信用取引にかかる資金調達を主に証券金融会社からの借入で行っておりますが、市況の変動によって、証券金融会社に差入れた有価証券等の担保価値が低下した場合、追加の担保の差入れを求められることがあり、そのための借入等は当企業グループが独自に行う必要があります。

 

(4)システムリスク

当企業グループはオンライン証券最大の顧客口座数を有するイー・トレード証券株式会社を傘下に有しております。同社において顧客中心主義に基づいた満足度の高いオンライン取引のシステムを追求した結果、平成15年7月にオンライン証券で初めて「リナックスを基本ソフトウェア(OS)とした新オンライン取引システム」を、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)と共同開発し、リリースいたしました。しかしながら、オンライン取引システムに関しては、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウィルス、サイバーテロのほか、自然災害等によってもシステム障害が発生する可能性があります。当企業グループでは、かかるシステム障害リスクに備え、365日24時間体制の監視機能、基幹システムの二重化、複数拠点におけるバックアップサイト構築等の対応を実施しておりますが、これらの対策にもかかわらず何らかの理由によりシステム障害が発生し、かかる障害への対応が遅れた場合、または適切な対応ができなかった場合には、障害によって生じた損害の賠償を求められたり、当企業グループのシステム及びサポート体制に対する信頼が低下し、結果として相当数の顧客を失うなどの影響を受ける可能性があります。

 

(5)顧客情報のセキュリティについて

当企業グループの事業にとって、第三者による顧客データの不正取得や改変等による被害の防止は極めて重要であります。当企業グループにおいては、厳格な顧客情報管理のルールに基づいて、十分なセキュリティ対策を講じており、過去に不正な証券取引注文、重要な顧客データの漏洩または破壊等が起こった事実は認識しておらず、これらに伴う損害賠償を請求されたことはありません。しかし、今後顧客情報管理における問題が生じた場合、当企業グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(6)法的規制について

[1] 証券業登録について

当企業グループは証券業を営むにあたり、証券取引法第28条に基づく「証券業」登録を受けております。また、当企業グループは東京証券取引所、大阪証券取引所、名古屋証券取引所及び福岡証券取引所の総合取引参加者等であります。今後とも内部管理・リスク管理の面において法令その他証券取引所規則等の遵守に万全を図る必要があります。

[2] 自己資本規制比率について

証券会社には、証券取引法及び証券会社の自己資本規制に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率の制度が設けられています。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本の額の、保有する証券価格変動、その他の理由により発生し得るリスク相当額の合計に対する比率をいいます(証券取引法第52条1項)。証券会社は自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければならず(同法第52条2項)、金融庁長官は証券会社に対しその自己資本規制比率が120%を下回るときは、業務方法の変更等を命ずること、また100%を下回るときは3ヶ月以内の期間、業務の停止を命ずることができ、さらに業務停止命令後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ回復の見込みがないときは証券業の登録を取り消すことができるとされています(同法第56条の2、第194条の6第1項)。また、証券会社は四半期ごとにこの自己資本規制比率を記載した書面を作成し、3ヶ月間すべての営業所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならず(同法第52条3項)、これに違反した場合には罰則が科されます(同法第198条の5第3号)。

[3] 顧客資産の分別保管・投資者保護基金について

証券会社は、顧客資産が適切かつ円滑に返還されるよう顧客から預託を受けた有価証券及び金銭につき、自己の固有財産と分別して保管することを義務付けられています。ただし、信用取引により買い付けた株券等及び信用取引によって株券等を売りつけた場合の代金については、このような分別保管の対象とはなっておりません。また、証券会社は投資者保護のために証券取引法に基づき政府が承認した投資者保護基金に加入することが義務付けられており、当企業グループは日本投資者保護基金に加入しております。投資者保護基金の原資は基金の会員である証券会社から徴収される負担金であり、日本投資者保護基金は、基金の会員証券会社が破綻した場合には投資家が破綻証券会社に預託した証券その他顧客の一定の債権について上限を1,000万円として保護することとなっております。

 

<ファイナンシャル・サービス事業>

当企業グループは、ファイナンシャル・サービス事業において、長期固定金利住宅ローンの提供や、IT関連機器のリースをはじめとする様々な事業を行っておりますが、各事業分野における比較的新しい事業者として激しい競争に直面しております。また、事業の特性上、金利動向・経済および市場環境等の外部要因は当企業グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

<その他>

(1)限定的財務情報

当社が平成15年3月期に決算期を9月から3月に変更したことに伴い、平成15年3月期は6ヶ月の変則決算となったため、当期と前年同期間の比較ができません。

 

(2)事業再編等

当企業グループは、金融業界に革命を起こす「金融イノベーター」として、常に自己進化(「セルフエボリューション」)を続けていくことを基本方針の一つとしております。今後も当企業グループが展開する金融事業分野とのシナジー効果が期待できる事業へのM&A(企業の合併・買収)を含む積極的な業容拡大を進めて参りますが、事前の十分な投資分析・精査等の実施にもかかわらず、これらの事業再編・業容拡大等がもたらす影響について、必ずしも当企業グループが予め想定しなかった結果を生じる可能性も否定できず、結果として当企業グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。

 

(3)ソフトバンクグループとの連携

当社は、ソフトバンク株式会社の100%子会社であるソフトバンク・ファイナンス株式会社が47.3%保有する子会社であります。従いまして、ソフトバンク株式会社及びソフトバンク・ファイナンス株式会社の業績や評価が当企業グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)キーパーソンへの依存

当企業グループの経営は、当社代表取締役CEOである北尾吉孝をはじめとする強力なリーダーシップを持ったマネジメントに依存しており、現在の経営陣が継続して当企業グループの事業を運営できない場合、当企業グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)従業員

当企業グループは強力なリーダーシップを持ったマネジメントのもとで、優秀な人材を採用して参りましたが、今後継続的に優秀な人材の採用ができない場合には、当企業グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。