2009年10月30日
SBIホールディングス株式会社

 当社グループの運営ファンドの出資先である米国の開発段階医薬品会社、クォーク・ファーマシューティカルズ社(以下、「クォーク社」)が、2009年10月26日(現地時間)に「低酸素調節性遺伝子」という名称で国際出願を行っていたクォーク社の知的財産権に対し、2009 年8 月7 日に日本の特許権(特許第4354633 号)が登録されたことについてプレスリリースを発表しておりますので、内容について下記のとおりお知らせいたします。

 

 カリフォルニア州・フレモントのクォーク社は、米国特許商標局が発給した同社の米国特許(6455674・6555667・6740738)について、特許協力条約(PCT)に基づいて日本で国際出願手続き(国際出願番号:PCT/US1998/017296)を行っておりましたが、日本の特許庁は2009 年8 月7 日に審査の結果、クォーク社に同出願に関して特許権を認めました。

 今回日本で認められた特許権の具体的な範囲は、RTP801遺伝子のmRNAやペプチド化合物を標的にした阻害機能など多様な性質に及んでいます。この特許は、クォーク社からファイザー社へ世界規模独占的なライセンス供給を行っている合成siRNA分子PF4523655 (RTP801)の根幹となる知的財産権を含むものです。合成siRNA分子PF4523655は、RTP801の発現を阻害するよう設計されており、糖尿病性黄斑浮腫(DME)や、血管新生(滲出型)加齢性黄斑変性(wet AMD)の治療に向けたフェーズ2の臨床試験が行われています。

 合成siRNA分子PF4523655は、RTP801遺伝子を標的にすることで血管の異常な成長や出血を阻害し、炎症とアポトーシス(細胞の自然死)を抑制することが、網膜疾患の動物モデルで示されています。ここで重要なのは、合成siRNA分子PF4523655によるRTP801遺伝子の阻害経路は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)という糖タンパクやその受容体による血管形成を阻害する他の治療薬と異なる過程で作用するということです。そのため合成siRNA分子PF4523655は、単独治療薬として、又はVEGF経路に依存する既存の治療薬と併用して使われる場合に有効性を示す可能性があります。

 クォーク社のダニエル・ズール最高経営責任者は「各国における医薬品の特許取得は、将来的な販売経路を確立し、商業的な売上を確立する上で不可欠な要素となっています。殊に医薬品開発分野における特許取得は、研究開発と認可への多額の先行投資を保護するということに繋がるため、今回日本で特許権が認められたことは非常に大きな前進となります。クォーク社はsiRNA研究開発業界における主導的な地位にある企業として、知的財産権の創出と管理運用全般への包括的な取り組みによって製品開発パイプラインを保護することに一層の注力を行っています。今後も引き続き、知的財産権保護の強化に取り組み、クォーク社の製品開発パイプラインの潜在的な価値向上を図るよう努力致します。」とのコメントを発表しました。

合成siRNA分子PF4523655を用いた臨床治療について
クォーク社が知的財産権を保有する合成siRNA分子PF4523655(RTP801i-14)は、RTP801の発現を阻害するように設計されています。合成siRNA分子PF4523655(RTP8011-14)の関連製品は、世界規模で独占契約によってファイザー社へ供給されています。クォーク社は、BiFARという自社独自の標的発見システムを用いてRTP801遺伝子を発見しておりますが、このBiFARではアル遺伝子の発現を阻害する場合に、特定の疾病の発症を反転させる医学的に連関性の強い遺伝子やたんぱく質を特定することが可能となっています。クォーク社では、RTP801遺伝子とタンパク質の配列、そして特定抗体や遺伝子阻害に関連して、複数の病理についての包括的な特許群を保有しています。
現在進行中のフェーズ2臨床試験は、複数の施設で無作為に選ばれた160 名の糖尿病性黄斑浮腫(DME)患者を対象に、レーザー療法との安全性と効能の比較を目的に実施されています。この臨床試験で被験者は、合成siRNA分子PF4523655(RTP801i-14)を3段階の異なる投与量で硝子体注入するか、別途レーザー療法を受けることとなります。尚、治療の効果は視覚の鋭敏性と網膜の形状判定によって評価することとなります。

 

以上