2009年11月24日
SBIホールディングス株式会社

 当社グループの運営ファンドの出資先である米国の開発段階医薬品会社、クォーク・ファーマシューティカルズ社(以下、「クォーク社」)は2009 年11 月19 日(現地時間)、同社のsiRNA化合物の研究開発施設で実施中の4種類の臨床試験に関する進捗状況を発表しておりますので、内容について下記の通りお知らせいたします。

 

クォーク社は現在進行中の臨床試験のうち3案件について臨床試験に必要な人数の患者登録手続きを完了したこと、また、新たな医薬品候補として眼球神経保護の効用が期待出来るsiRNA化合物『QPI-1007』について治験新薬申請(IND)を行ったことを発表しました。また、クォーク社から合成siRNA分子『PF4523655』について独占的なライセンス供給を受けているファイザー社は、糖尿病性黄斑浮腫(DME)の患者に対して『PF4523655』を用いたフェーズ2臨床試験の患者登録を完了しました。『PF4523655』は、眼球毛細血管の異常新生や漏出に大きく関連する遺伝子『RTP801』の発現を阻害するよう設計されています。また、ファイザー社は、血管新生(滲出型)加齢性黄斑変性症(wet AMD)の患者についても『PF4523655』を用いたフェーズ2の臨床試験を進めています。

 また、クォーク社はsiRNA化合物『QPI-1002』について、異なる被験者集団を対象に全身投与を行う2案件の安全性評価試験のための患者登録を完了しました。具体的には大規模な心臓血管手術後の急性腎臓障害(AKI)に関するフェーズ1の臨床試験と、臓器移植後の臓器機能障害(DGF)に関するフェーズ1・フェーズ2のパートAの臨床試験です。『QPI-1002』は、ストレス反応の伝達において主要な役割を担う遺伝子『p53』を一時的に抑制するよう設計されており、siRNA化合物の医薬品候補としては初めて全身投与の臨床試験が実施されています。クォーク社は2010 年にこれら2案件の症例モデルを用いた臨床試験を推し進める予定です。

 この他、クォーク社は、新たな医薬品候補として『QPI-1007』を眼球神経保護の治験新薬として用いる治験新薬申請の準備を進めており、2010 年第1 四半期中にフェーズ1の臨床試験の被験者候補登録を行う予定です。クォーク社が独自に開発し、特許を保有している最初の医薬品候補『QPI-1007』は、既に複数の眼球神経保護モデルを用いた試験を終えており、緑内障によって眼圧が上昇した症例モデルで、網膜神経節細胞に対する神経保護活性効果があることが確認されています。

 クォーク社のダニエル・ズール最高経営責任者は「当社は最先端の領域で臨床開発を推し進めることで、RNA干渉分野における主導的な地位を維持しており、製品パイプラインを拡充することで更に多くの医薬品候補の製品化を追及します。今後の予定としては15ヶ月以内に最低でも1件の医薬品候補に関するフェーズ3の臨床試験登録を申請することを計画しています。複合的な観点に基づいた臨床研究結果を報告次第、当社で第5件目となる治験新薬申請(IND)の手続きを行う予定です。これまでの当社の実績は、優秀な研究開発チームが適切な戦略に従って研究を進めていることを証明しており、我々は今後の当社の発展に大きな期待を抱いています。」とのコメントを発表しました。

 また、クォーク社の医学部門の最高責任者であるシェイ・アーリック博士は「当社は引き続き、医療の現場で新たな治療法の選択肢を生み出す新たな医薬品候補の発見と製品化に尽力しています。我々はつい最近まで伝統的な薬学のアプローチでは実現出来なかったことを、分子経路を用いた手法で達成しています。当社は新たな医薬品候補の研究開発に取り組むことで、治療指数(ある治療薬に関する致死量を、治療効果を示す最小限の量で割った指数で、数値が大きい方が患者への投与量が少なく済むことが期待出来ます)を低下させ、患者への負荷を増加させてしまう危険性がある大掛かりな医薬品の改変や形質変更の必要性を回避しながら、既存療法の応用的な潜在的可能性を探求します。今日まで当社が実施したフェーズ1の臨床試験の中間結果段階では、医薬品候補の副作用は殆ど見つからず、即時反応としての用量制限毒性は皆無です。一研究者として今後、臨床試験を無事に完了し、広範な疾病分野における実績を築き上げることを望んでいます。」とのコメントを発表しました。

 

以上