2010年2月19日
SBIホールディングス株式会社

 当社グループの運営ファンドの出資先である米国の開発段階医薬品会社、クォーク・ファーマシューティカルズ社(以下、「クォーク社」)は2010 年2 月16 日(現地時間)、同社が開発したsiRNA化合物『QPI-1002』について、米国食品医薬品局(FDA)が希少疾病用医薬品に指定したことを発表しましたので、内容について下記のとおりお知らせいたします。

 

 2010 年2 月16 日、カリフォルニア州・フレモントのクォーク社は、同社が開発したsiRNA化合物『QPI-1002(旧称15NP)』について、米国食品医薬品局(FDA)が腎臓に関する臓器移植手術後の機能障害(DGF)の予防のための希少疾病用医薬品として指定したことを発表しました。『QPI-1002』は、ストレス反応の伝達において主要な役割を担う『p53遺伝子』を標的としており、細胞の損傷時に『p53遺伝子』を一時的に抑制することで脆弱な細胞が自発的に細胞死することを防ぎ、自然修復のメカニズムによる細胞組織の統合と機能を温存する効果をもたらします。クォーク社は、既に『QPI-1002』の臨床試験に必要な患者登録手続きを完了しており、フェーズ1・フェーズ2のパートAの用量漸増試験(投与量を徐々に増やして効果を測定する試験)を実施した結果、独立データ安全性モニタリング委員会(DSMB)から臨床試験をパートBへ進めるよう推奨を受けています。

 クォーク社のダニエル・ズール代表取締役兼最高経営責任者は「DGFは、最近においても医療需要が満たされていない疾病として代表的なものの一つです。当社はsiRNA化合物『QPI-1002』が、腎臓移植の分野に大きな貢献を果たすことが出来るものと期待しています。今回、当社のこの画期的なsiRNA化合物がFDAから希少疾病用医薬品として指定を受けたことで、DGFの発症を防ぐことが出来る時代に向けて大きな進歩があったと確信しています。」とのコメントを発表しました。

米国の希少疾病用医薬品制度について
米国における希少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)制度とは、米国で患者数が20 万人以下の疾患に関して、新薬開発を促進するために米国食品医薬品局(FDA)が指定を行う制度です。1983 年に制定されたオーファン・ドラッグ法は、希少疾病用医薬品に指定された医薬品に対して7 年間にわたって先発権利の保護を付与する他、臨床試験費等の補助金支援や、臨床研究費用の税額控除、FDAへの申請に関する医薬品審査手数料の免責等といった恩恵を与えることを規定しており、希少疾病用医薬品の研究開発を促進するための強力な制度の基礎となっています。

『QPI-1002』の有効性について
これまでクォーク社が実施した臨床試験において、『p53遺伝子』を標的とするsiRNA化合物の『QPI-1002』には、臓器移植手術後の虚血・再潅流傷害の発生を防ぐ効果があることが認められています。

臓器移植手術後の機能障害(DGF)について
 臓器移植手術後の機能障害(DGF)は、腎臓の移植手術直後の時期に見られる合併症で、死亡者からの腎臓提供による移植手術の場合、25~40%の確率で発症するものです。典型例としては、臓器移植手術後の腎臓に対して血流が再び流れることがきっかけで、深刻な虚血・再潅流傷害が起こり、連鎖的にDGFへと至ることが考えられます。DGFの発症によって、患者は長期入院を強いられることとなります。更に高い確率で移植拒絶反応を引き起こすこととなり、移植後の腎臓の機能が保たれる可能性が低下します。しかしながら近年、このDGFという深刻な疾病の予防や対策となる医薬品は商品化されていません。

今後のクォーク社によるDGF関連の臨床試験について
 クォーク社は『QPI-1002』の安全性評価のため、死亡者の腎臓提供による移植手術を受けた患者に対して、複数の施設でフェーズ1・フェーズ2のパートAに関する用量漸増試験を実施しました。その結果、独立データ安全性モニタリング委員会(DSMB)から臨床試験をパートBへ進めるように推奨を受けました。パートBの臨床試験は、腎臓移植手術を受けた成人を対象としており、2010 年第2 四半期に実施される予定です。尚、臨床試験の詳細については、インターネット上(http://www.clinicaltrials.gov)で公表される可能性があります。

 

以上