2017年9月27日
SBIファーマ株式会社
中外製薬株式会社

SBIホールディングス株式会社の子会社でALA(5-Aminolevulinic Acid:5-アミノレブリン酸)(※1)を利用した医薬品の研究・開発等を行っているSBIファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長:北尾 吉孝、以下「SBIファーマ」)および中外製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役会長 CEO:永山 治、以下「中外製薬」)は、光線力学診断用剤「アラグリオ®顆粒剤分包1.5g」(一般名:アミノレブリン酸塩酸塩、以下「本剤」)について、このたび「経尿道的膀胱腫瘍切除術時における筋層非浸潤性膀胱癌の可視化」を効能・効果として、厚生労働省より製造販売承認が得られたことをお知らせいたします。

本剤は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)(※2)施行時における筋層非浸潤性膀胱癌(※3)の可視化を目的とした光線力学診断(Photodynamic Diagnosis: PDD)用に経口投与される世界で初めての製剤で、希少疾病用医薬品の指定を受けています。また、本剤の第Ⅱ/Ⅲ相試験は、公益社団法人日本医師会治験実施促進センターの治験推進研究事業の医師主導治験として、国立大学法人高知大学を中心にした5つの医療機関において実施されました。(この事業の後を受けて、同じ医療機関において実施された第Ⅲ相試験の結果は、SBIファーマの2017年4月24日付けニュースのとおりです。)

本剤を膀胱鏡挿入の3時間前(範囲:2~4時間前)に水に溶解して患者さんに経口投与し、膀胱内に青色励起光を照射すると、腫瘍病変が赤色発光して当該病変の視認性が高まります。これにより、白色光源のみによる従来法では視認困難な微小ながんや平坦ながんなどについても識別が容易になると考えられます。筋層非浸潤性膀胱癌の初期治療時に可能な限り腫瘍病変を除去することは、術後の再発および進展抑制に対し臨床的有用性が期待されます。

なお、中外製薬は、本剤の製造販売承認を取得したSBIファーマより本剤の日本国内における独占販売権の許諾を受けています。(2017年3月13日付けニュースをご参照ください。)

SBIファーマおよび中外製薬は、膀胱がんと闘われている患者さんおよび医療従事者に「アラグリオ®顆粒剤分包1.5g」を新たな診療の選択肢として一日も早く提供できるよう、引き続き努力してまいります。

(※1)5-アミノレブリン酸(ALA)とは:体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸。ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与する機能分子の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。ALAは、焼酎粕や赤ワイン、高麗人参等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。

(※2)経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)とは:Transurethral Resection of the Bladder Tumorの和訳で、開腹せずに尿道から手術用内視鏡(膀胱鏡)を挿入し、膀胱を温存しながら腫瘍を切除する術式のことです。

(※3)筋層非浸潤性膀胱癌とは:膀胱筋層への浸潤を有さない比較的早期の膀胱がんで、膀胱がん全体の約70%を占めます*。基本的に初期治療としてTURBTによる膀胱温存を目指した治療が行われますが、従来の白色光源のみによるTURBT施行では、術後5年以内にその31~78%が再発するとされています**。
* 膀胱癌診療ガイドライン 2015年版(日本泌尿器科学会 編)医学図書出版株式会社; p25
** Sylvester RJ, et al. (2006) Eur Urol; 49:466-77

以上