2018年3月9日
大阪市立大学
SBIファーマ株式会社

<概 要>
 大阪市立大学大学院医学研究科の鶴田 大輔(つるた だいすけ)教授、小澤 俊幸(おざわ としゆき)講師の研究グループはSBIファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:北尾 吉孝)と共同で、緑膿菌※感染皮膚潰瘍に対して、天然アミノ酸である5-アミノレブリン酸(ALA)の局所投与とLED光を用いた光線力学療法(PDT)を行い、緑膿菌を殺菌し、細菌感染していない場合と同等の創傷治癒促進効果を得ることに成功しました。
 PDTは、既存の抗菌薬の治療とは全く異なる作用機序で殺菌し、耐性菌を生じる事がないため、新たな細菌感染の治療法として期待されています。なお、2018年3月より、本学医学研究科 皮膚病態学の臨床研究として、人を対象とした治療を開始します。
 本研究の成果は、2018年3月5日に皮膚科学専門誌「Journal of Dermatological Science」のオンライン版に掲載されました。

緑膿菌:水まわりなど生活環境中に広く常在するが、健常者には通常、病原性を示さない弱毒細菌の一つ。各種の抗菌薬に耐性を示す傾向が強く、日和見感染症の起因細菌として臨床現場で問題となっている。

<研究の内容>
 近年、抗菌薬に対する耐性菌の出現と蔓延が世界的な問題として注目されています。当研究グループは2014年に、その耐性菌の代表であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染皮膚潰瘍に対し、5-アミノレブリン酸(ALA)と410nm LEDを使用した光線力学療法(PDT)が、殺菌及び創傷治癒促進効果を有することを報告しました。PDTとは光感受性物質を投与し、標的となる組織に集積させた後に、特定の波長の光を照射することにより生じる活性酸素によって標的細胞(細菌)を死滅させる治療法であり、耐性菌を生じないという特徴があります。
 入院患者や抵抗力の弱い人に対して大きな脅威となる感染皮膚潰瘍の原因として、グラム陽性球菌であるMRSAと、グラム陰性杆菌である緑膿菌が二大要因となっています。今回、MRSAと同様に薬剤耐性化が問題となっている緑膿菌に対しても、PDTが有効かどうかを検討しました。
 研究当初、緑膿菌に対してもMRSA同様の方法でPDTを行っていましたが、効果が見られませんでした。そこで、さまざまな条件を再検討し、少量のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA-2Na)を5-アミノレブリン酸(ALA)に混ぜてPDTを試みました。その結果、MRSA感染皮膚潰瘍に対する効果と同様に、緑膿菌は減菌し、有意に創傷治癒が促進され、感染していない潰瘍と同等の治癒効果を得ることに成功しました。
 5-アミノレブリン酸(ALA)を用いたPDTは、耐性菌を作らない新しい感染皮膚潰瘍の治療法として期待されます。

(左図の説明)
縦軸は観察初日の潰瘍面積を100%とした場合の面積。横軸は日数。
緑膿菌を感染させた場合(小さな点線)は、13日目で、40%までしか治癒していない。感染していない潰瘍(灰色の実線)は、13日目で傷が無くなった。PDTを行った場合(実線)は、感染していない場合と同様に、13日目で傷が治癒した。
つまり、PDTは創傷治癒を促進させた。

<論文情報>

雑誌名:Journal of Dermatological Science
論文名:Enhanced sterilization and healing of cutaneous pseudomonas infection using 5-aminolevulinic acid as a photosensitizer with 410-nm LED light
「緑膿菌感染皮膚潰瘍に対して5-アミノレブリン酸と410nm LEDを使用し、殺菌及び創傷治癒を促進させる」
著者:Bunpei Katayama, Toshiyuki Ozawa, Kuniyuki Morimoto, Kunio Awazu, Nobuhisa Ito, Norihiro Honda, Naoki Oiso, Daisuke Tsuruta