2009年1月6日
ゴメス・コンサルティング株式会社

 ゴメス・コンサルティング株式会社(以下、ゴメス)は本日、Webサイトパフォーマンス測定ツールGomez Performance Networks(以下、GPN)で計測した「業界別サイトパフォーマンス動向(2009年1月)」を発表いたしました。

 ヤコブ・ニールセンの調査(※)では、ユーザーの思考の流れが途切れないレスポンスタイムの限界は1秒であり、1秒近くになるとユーザーは直接操作している感覚がなくなる(違和感を覚える)と言われています。表示速度の悪化はユーザーの離脱率増加や再訪問率低下などにつながり、サイト運営企業の収益にも悪い影響を及ぼします。

 業界別Webサイトのトップページにおける表示速度結果は以下の通りです。前回と比較し、全体としては銀行、証券業界の表示速度が速くなる一方で、航空、不動産、新聞各社の表示速度は遅くなっています。

測定期間:2008年12月1日(月)~2008年12月28日(日)の4週間
(前回の計測は2008年10月13日(月)~2008年11月9日(日))
測定環境:国内2箇所のデータセンターから外部インターネット環境を通して各サイトのトップページ表示速度を計測。(10Mbpsのネットワーク接続環境)

■ 業界別トップページ平均表示速度
・ 銀行14社平均:2.263秒(前回比+0.225秒)
・ 証券9社平均:3.013秒(前回比+0.016秒)
・ 航空8社平均:2.331秒(前回比-0.080秒)
・ 不動産17社平均:2.748秒(前回比-0.334秒)
・ 新聞5社平均:3.030秒(前回比-0.083秒)

■ 業界別トップページの平均稼働率
・ 銀行14社平均:100.00%(前回99.91%)
・ 証券9社平均:100.00%(前回99.99%)
・ 航空8社平均:99.95%(前回99.96%)
・ 不動産17社平均:99.96%(前回99.98%)
・ 新聞5社平均:99.98%(前回99.93%)

■ 業界別トップページ表示速度トップ5の状況と業界別考察
[銀行]
1. 住友信託銀行:1.360秒
2. 三井住友銀行:1.516秒
3. セブン銀行:1.530秒
4. ジャパンネット銀行:1.605秒
5. 三菱東京UFJ銀行:1.694秒

前回に引き続き住友信託銀行が1.360秒で第1位でした。オブジェクト数を抑えることにより、全体としてのページ容量を低下させることに成功していることが要因と思われます。
銀行業界では全体的に安定的なパフォーマンス動向でしたが、12月22日(月)の12時台に、ゆうちょ銀行で平均表示速度15秒というパフォーマンス劣化が起きていました。通常貯金の金利を引き下げたことによる、ホームページへのアクセス集中などが原因と思われます。

[証券]
1. SBI証券:0.928秒
2. カブドットコム証券:0.942秒
3. 大和証券:1.719秒
4. 日興コーディアル証券:1.940秒
5. マネックス証券:2.170秒

証券業界では、SBI証券が前回より0.568秒速くなりカブドットコム証券と僅差の第1位となりました。
証券9社とも稼働率が100.00%となっており、システムの安定性を表しています。

[航空]
1. スカイネットアジア航空:0.527秒
2. AIR DO:1.772秒
3. スカイマーク エアラインズ:2.019秒
4. ANA SKY WEB:2.335秒
5. スターフライヤー:2.498秒

航空業界では、前回に引き続きスカイネットアジア航空が第1位ですが、これはFlashファイルのローディング時間を含んでいないことが影響しています。
スカイマークエアラインズは平均値では前回から0.362秒速くなりましたが、時間別に見ていきますと、0.5秒から5秒の間でぶれが大きい状況です。

[不動産]
1. エイブル:1.300秒
2. CHINTAI:1.324秒
3. アパマンショップ:1.426秒
4. Yahoo! 不動産:1.510秒
5. フォレント:1.562秒

不動産賃貸サイトでは、上位9位までが1秒台となっており、全体としては速い状況です。
一方、サイト稼働率ではCHINTAIが99.85%、HOME'S賃貸が99.74%など他業界と比較して低くなっており、システムの安定性が課題と思われます。

[新聞]
1. 読売新聞:1.877秒
2. 毎日新聞:2.915秒
3. 産経新聞:3.232秒
4. 日本経済新聞:3.467秒
5. 朝日新聞:3.659秒

新聞業界は、ページバイト数が大きいことが影響し、他業界と比較して表示速度は遅くなっています。

 Webサイトの表示速度が遅くなる原因は多岐に渡りますが、一般的にはサーバー/ネットワークのスペックに加え、アプリケーションプログラムの複雑さ、1ページのページバイト数やオブジェクト数、JavaScriptやCSSの処理の複雑さなどが要因となります。

 ゴメスでは、表示速度の客観的な測定とその改善施策をサイト運営企業にご提供することにより、ユーザーにとって満足度の高い、安定的で速度の速いWebサイトの実現をサポートしてまいります。

 これに関連しゴメスでは1月8日(木)に「サイトパフォーマンス管理のためのGPN活用セミナー~パフォーマンスの向上でコンバーション率アップへ~」を開催します。詳細につきましてはセミナー情報ページ(http://www.gomez.co.jp/company/seminar/index.html)をご確認ください。

(※)「反応時間-3つの重要限界」より ヤコブ・ニールセン博士著
ヤコブ・ニールセン:デンマーク工科大学出身、工学博士。ウェブサイトにおけるユーザビリティ研究の第一人者。