2014年6月30日
SBIバイオテック株式会社

当社(本社:東京都港区、代表取締役社長:松森 浩士)は、カルナバイオサイエンス株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:吉野公一郎、以下「カルナバイオサイエンス社」という)と共同で研究開発を推進してきたガンを標的とするCdc7/ASKキナーゼ阻害薬プログラム(以下「本Cdc7阻害薬プログラム」という)について、これまでの共同研究の成果として共同で保有してきた当社の知的財産権(特許権等)をカルナバイオサイエンス社に譲渡する譲渡契約(以下「本契約」という)の締結について合意しましたのでお知らせいたします。

1. 本契約締結の目的
当社は現在、新薬開発プロジェクトの選択と集中を目的にポートフォリオの見直しを進めており、今後は、当社の主要テクノロジーである核酸医薬(siRNA)と形質細胞様樹状細胞(pDC)制御医薬である抗体や機能核酸を中心に革新的な創薬を進めていく予定です。
本Cdc7阻害薬は低分子であり、2009年8月よりリード化合物の絞込みの段階からカルナバイオサイエンス社とガン疾患を標的とした共同研究開発を進めてきましたが、今般、両社において、本プログラムを速やかに臨床試験に進め、早期に大手製薬企業等に導出することが両社の企業価値を極大化するとの観点から、今後の開発戦略について協議した結果、カルナバイオサイエンス社が中心となり前臨床試験、臨床試験を推進し、その成果の一部を将来当社が受領するというスキームが、現時点における最善の選択であるとの結論に達し、今回の譲渡契約の締結に至りました。
当社としましても、低分子の経口分子標的薬の研究開発に特化しているカルナバイオサイエンス社にライセンスアウトすることで、より早い意思決定のもとで開発を迅速化することができ、結果的に当社の収益性の向上につながると考えています。

2. 本契約の主な内容
当社は、本日付で、カルナバイオサイエンス社へ本Cdc7阻害薬プログラムに係る全知的財産権の譲渡を行うとともに、当社はカルナバイオサイエンス社より、本契約締結時の一時金および同プログラムの開発の進展ならびに大手製薬企業等への導出契約の締結に伴うマイルストーンを受領致します。

以上

(注)Cdc7/ASKキナーゼとは:
Cdc7/ASKキナーゼは、細胞が分裂するときに重要なDNA複製などの染色体サイクルにおいて、多くの機能制御に深く関与していると考えられています。ガン細胞は正常細胞に比べ、細胞分裂が盛んであることを利用して、これまでにもDNAの複製を阻害する薬剤が抗ガン剤として用いられてきておりますが、正常細胞も影響を受けるために強い副作用がありました。しかし、Cdc7/ASKキナーゼの阻害は、これら従来の阻害剤と異なり、ガン細胞のみを細胞死に導くことが報告されています。また、p53変異トリプルネガティブ乳癌(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2がすべて陰性)でCdc7/ASKキナーゼが過剰発現していることが報告されており、これまで治療困難とされてきたトリプルネガティブタイプの乳癌に対して、Cdc7/ASKキナーゼ阻害薬が有望な標的分子となることが期待されています。

(ご参考)
カルナバイオサイエンス社の概要
(1) 名称 カルナバイオサイエンス株式会社
(2) 代表者 代表取締役社長 吉野 公一郎
(3) 所在地 兵庫県神戸市中央区港島南町1-5-5
(4) 事業内容 医薬品の研究開発及び創薬支援事業
(5) WEBサイト http://www.carnabio.com/