2016年11月24日
モーニングスター株式会社

中立的な第三者としての立場から各種金融商品やウェブサイトの客観的な評価・比較を行うモーニングスター株式会社(以下、当社)は、「Gomez IRサイトランキング2016」をGomezのウェブサイト(http://www.gomez.co.jp/)で発表しました。
国内の上場企業は、株主・投資家の視点に立ったウェブサイトの改善や財務情報の掲載のみならず、中長期的な成長戦略や企業を取り巻く関係者への積極的情報開示など、企業価値の向上や企業ビジョンの共感につながる取り組みを重視しつつあります。
当社では国内の上場企業が提供する株主・投資家向け広報(以下、IR)サイトの使いやすさや情報の充実度を評価することを目的として行っており、今回で10回目の発表となります。
「ウェブサイトの使いやすさ」「財務・決算情報の充実度」「企業・経営情報の充実度」「情報開示の積極性・先進性」の4つの切り口から、主要ユーザーである投資家の視点に基づいて設定した239の調査項目により当社アナリストが評価を行い、総合的に優れたIRサイトのランキングを決定します。

「Gomez IRサイトランキング2016」上位10社は、以下のようになりました。
順位 得点 会社名 前回※
1位 8.86 ソフトバンクグループ 1位
2位 8.77 カプコン 4位
3位 8.70 コニカミノルタ 2位
4位 8.66 KDDI 3位
5位 8.22 三菱重工業 6位
6位 8.09 オリエンタルランド 13位
7位 7.95 日本電気 16位
8位 7.91 ニコン 15位
9位 7.90 みずほフィナンシャルグループ 12位
10位 7.84 伊藤忠商事 65位
※「Gomez IRサイトランキング2015」(2015年6月30日発表)
※ 11位以下のサイトについては、Gomezのウェブサイトをご覧ください。
また、新興市場(JASDAQ、マザーズなど)上場企業を対象にした「新興市場IRサイトランキング」上位5社は、以下のようになりました。
順位 得点 会社名 前回※
1位 7.22 トライステージ(マザーズ) 6位
2位 7.15 アルトナー(JQ) 2位
3位 6.78 ハーモニック・ドライブ・システムズ(JQ) 4位
4位 6.61 セプテーニ・ホールディングス(JQ) 8位
5位 6.60 ゼネラルパッカー(JQ) 3位
※「Gomez IRサイトランキング2015」(2015年6月30日発表)、JQ:JASDAQの略

【ランキング上位企業の評価理由】

総合第1位はソフトバンクグループが4年連続で獲得しました。事業内容や戦略情報を豊富に掲載し、これらの情報を伝える手段として、表やグラフ、動画の活用など複数の方法で情報を提供し、利用者に理解をしてもらうことを主眼に置いた充実したウェブサイトになっています。また、PC、スマートフォン、タブレット端末とそれぞれのデバイスに応じた対応がされており、情報量もすべてのデバイスで同等のものを用意しており高く評価できます。

総合第2位はカプコンとなりました。財務情報が充実しており、決算説明会資料においては、動画コンテンツのほか、説明要旨付きのプレゼンテーション資料を用意するなど投資家へ向けた資料を豊富に提供しています。
また、ソーシャルメディア対応としてFacebook、Twitter、YouTubeでIR情報専用のアカウントを持ち、幅広い層の投資家に対し、積極的に情報を発信しています。

総合第3位はコニカミノルタとなりました。財務情報は、収益性・効率性・安全性の視点で詳細に分析されており、Excel形式でのダウンロードも可能で汎用性の高い情報を提供しています。株式関連では、各格付機関の定義を記載した上で、これまで取得した格付の推移や外部からの評価を適切に開示しており、企業としての安心感の向上につながっています。

【総評とIRサイトのトレンド】

・213社を2016年「IRサイト優秀企業」に選定
「Gomez IRサイトランキング2016」の調査対象サイトのうち総合得点6.00点以上に贈られる「IRサイト優秀企業」に213社が選定されました。昨年の195社から18社の増加となります。コーポレートガバナンス・コードへの対応など、公平で透明性の高い情報開示への意識が高まり、自社ホームページの活用が進んだことによって優良なIRサイトが増加しているためと考えております。

・マルチデバイス対応の増加
ウェブサイト閲覧環境とデバイスの多様化に伴い、スマートフォンおよびタブレット端末に対応したIRサイト構築の重要性はますます増しつつあります。今回の調査対象342社のうち、IRサイトのトップページをスマートフォン最適化している企業は約60%、IRサイト全体のスマートフォン最適化も約40%に達していました。

・アクセシビリティへの配慮
2016年3月にウェブ・アクセシビリティに関連するJIS規格が改定され「JIS X 8341-3:2016」が公示されたこと、また2016年4月から障害者差別解消法が施行されたことを受け、高齢者や障害をお持ちの方に配慮したウェブサイト設計が求められています。文字の大きさや色のコントラスト、動画における操作性・可読性の確保など、あらゆる閲覧状況に配慮した取り組みが重要になっています。

(1)IRサイト優秀企業2016
IRサイト優秀企業:金賞(全6社)
得点 企業名
8.86 ソフトバンクグループ
8.77 カプコン
8.70 コニカミノルタ
8.66 KDDI
8.22 三菱重工業
8.09 オリエンタルランド
IRサイト優秀企業:銀賞(全61社)
得点 企業名   得点 企業名
7.95 日本電気   7.27 ソニーフィナンシャルホールディングス
7.91 ニコン   7.26 ナブテスコ
7.90 みずほフィナンシャルグループ   7.26 リコーリース
7.84 伊藤忠商事   7.25 帝人
7.78 セガサミーホールディングス   7.23 日本ユニシス
7.76 豊田通商   7.23 サイバーエージェント
7.75 トプコン   7.23 富士フイルムホールディングス
7.73 野村不動産ホールディングス   7.22 JFEシステムズ
7.72 キリンホールディングス   7.22 JXホールディングス
7.71 エヌ・ティ・ティ都市開発   7.22 トライステージ
7.67 TDK   7.20 東急不動産ホールディングス
7.66 国際石油開発帝石   7.19 日本水産
7.64 ミネベア   7.16 オリンパス
7.61 東京海上ホールディングス   7.15 アルトナー
7.61 フィールズ   7.14 ANAホールディングス
7.60 NTTドコモ   7.12 りそなホールディングス
7.57 損保ジャパン日本興亜ホールディングス   7.11 ファーストリテイリング
7.54 富士重工業   7.10 富士通
7.53 ヤマハ発動機   7.08 ドンキホーテホールディングス
7.50 ライオン   7.08 三菱UFJフィナンシャル・グループ
7.50 リンテック   7.07 東レ
7.49 曙ブレーキ工業   7.06 ゼンリン
7.46 日本電信電話   7.06 東芝
7.42 富士電機   7.04 グローリー
7.42 三菱商事   7.04 中外製薬
7.41 明治ホールディングス   7.03 テレビ東京ホールディングス
7.40 オエノンホールディングス   7.03 SBIホールディングス
7.33 東京瓦斯   7.02 第一生命保険
7.33 LIXILグループ   7.00 アサヒグループホールディングス
7.32 千趣会   7.00 オムロン
7.28 Jトラスト      

IRサイト優秀企業:銅賞(全146社)
 Gomezのウェブサイトをご覧ください。

(2)ランキングアップ企業
今回のIRサイトランキングにおいてもウェブサイトのリニューアル、コンテンツの拡充や新規機能の追加等により、充実したIRサイトが数多く見られました。その中でも特に2015年調査時よりスコアを大きく伸ばした企業は下記の通りです。

前回調査からスコアを大きく伸ばした企業  
前回比 得点 企業名
+3.78 5.61 AOKIホールディングス
+2.78 6.25 ブラザー工業
+1.37 5.17 極洋
+1.25 7.08 ドンキホーテホールディングス
+1.13 7.53 ヤマハ発動機
+1.11 7.57 損保ジャパン日本興亜ホールディングス
+1.09 6.83 ソフトバンク・テクノロジー
+1.02 7.84 伊藤忠商事
+1.01 7.33 LIXILグループ
+0.97 7.49 曙ブレーキ工業
+0.97 7.26 ナブテスコ
(3)業種別ランキング第1位企業
業種 得点 企業名   業種 得点 企業名
パルプ・紙※ 5.85 日本製紙   精密機器※ 7.91 ニコン
水産・農林業 7.19 日本水産   その他製品 7.50 リンテック
鉱業 7.66 国際石油開発帝石   電気・ガス業 7.33 東京瓦斯
建設業 6.46 大東建託   陸運業※ 6.58 ヤマトホールディングス
食料品※ 7.72 キリンホールディングス   海運業 6.99 日本郵船
繊維製品 7.25 帝人   空運業 7.14 ANAホールディングス
化学※ 7.50 ライオン   倉庫・運輸関連業 5.78 近鉄エクスプレス
医薬品 7.04 中外製薬   情報・通信業 8.86 ソフトバンクグループ
石油・石炭製品 7.22 JXホールディングス   卸売業※ 7.84 伊藤忠商事
ゴム製品 6.09 横浜ゴム   小売業※ 7.32 千趣会
ガラス・土石製品 6.00 日本板硝子   銀行業 7.90 みずほフィナンシャルグループ
鉄鋼 5.52 新日鐵住金   証券・商品先物取引業※ 7.03 SBIホールディングス
非鉄金属 6.78 UACL   保険業※ 7.61 東京海上ホールディングス
金属製品 7.33 LIXILグループ   その他金融業※ 7.28 Jトラスト
機械 8.22 三菱重工業   不動産業※ 7.73 野村不動産ホールディングス
電気機器 8.70 コニカミノルタ   サービス業※ 8.09 オリエンタルランド
輸送用機器 7.54 富士重工業    

【調査概要】

調査期間 ・ 2016年4月1日~11月18日まで
・ ランキング結果は、2016年10月1日時点の各サイトに基づいています。
調査対象 ・ 2016年10月1日時点の国内証券取引所上場企業
調査範囲 ・ IR情報、ならびに会社情報やCSR情報が掲載されたページを調査
・ 採用サイト、商用サイト、製品・ブランドサイト等は、評価範囲から除外
調査手順
・ 上記の調査対象企業について、約10項目の予備調査を行い、一定基準を満たす企業を最終調査にノミネート。
・ ノミネート企業を239の調査項目からなるスコアカードに基づいて、当社のアナリストが実際にウェブサイトを使用しながら調査を行い、総合ランキングを決定。総合得点4.00以上の企業をGomezランキングサイトに掲載(2016年調査では342社が該当)。
・ 総合得点6.00以上をIRサイト優秀企業として選定(2016年調査では213社が該当)

【評価方法】

カテゴリ名称 評価内容
ウェブサイトの使いやすさ IR情報を提供するウェブサイト全体のユーザビリティを評価するカテゴリです。情報の見つけやすさや各コンテンツの見やすさ・使いやすさ、ウェブ・アクセシビリティ基準への対応状況等を総合的に評価します。
財務・決算情報の充実度 財務や決算に関する情報量を評価するカテゴリです。ウェブサイト上に掲載されたディスクロージャ資料や説明会情報など、主に業績を中心とする定量的な情報の充実度を総合的に評価します。
企業・経営情報の充実度 企業や経営に関する情報量を評価するカテゴリです。会社情報、経営戦略、コーポレートガバナンスやCSRなど、企業に関する定性的な情報の充実度を総合的に評価します。
情報開示の積極性・先進性 基本情報の一歩先を進んだ情報開示を評価するカテゴリです。個人投資家向け情報や英語による情報開示などのコンテンツ面、動画・音声配信、ソーシャルメディア、スマートフォン対応などの機能面の両面から評価します。

Gomezについて
Gomezは、インターネット上で提供されるサービスを中立的な立場から評価・分析し、インターネット利用者の利便性向上とEコマース市場などの拡大に貢献するための情報提供・企業向けのアドバイスを目的とし、消費者・企業双方に対して利益となる情報を掲載しています。
Gomezは、モーニングスター株式会社ゴメス・コンサルティング事業部により運営されています。

以上