2018年12月14日
モーニングスター株式会社

 中立的な第三者としての立場から各種金融商品やWebサイトの客観的な評価・比較を行うモーニングスター株式会社(以下、当社)は、「Gomez IRサイトランキング2018」をGomezのWebサイト(http://www.gomez.co.jp/)で発表しました。
 国内の上場企業は、株主・投資家の視点に立ったWebサイトの改善や財務情報の掲載のみならず、中長期的な成長戦略や企業を取り巻く関係者への積極的情報開示など、企業価値の向上や企業ビジョンの共感につながる取り組みを重視しつつあります。
 当社は国内の上場企業が提供する株主・投資家向け広報(以下、IR)サイトの使いやすさや情報の充実度の評価を目的としてランキング調査を行っており、今回で12回目の発表となります。「ウェブサイトの使いやすさ」「財務・決算情報の充実度」「企業・経営情報の充実度」「情報開示の積極性・先進性」の4つの切り口から、主要ユーザーである投資家の視点に基づいて設定した調査項目により当社アナリストが評価を行い、総合的に優れたIRサイトのランキングを決定します。

「Gomez IRサイトランキング2018」上位10社は、以下のようになりました。
順位 得点 会社名 前回(※)
1位 8.90 コニカミノルタ 4位
2位 8.80 カプコン 1位
3位 8.73 ソフトバンクグループ 2位
4位 8.70 KDDI 3位
5位 8.33 三菱重工業 7位
6位 8.26 伊藤忠商事 10位
7位 8.21 曙ブレーキ工業 11位
8位 8.19 TDK 9位
9位 8.17 キリンホールディングス 5位
10位 8.16 SOMPOホールディングス 8位
※「Gomez IRサイトランキング2017」(2017年12月13日発表)
 また、新興市場(JASDAQ、マザーズ)上場企業を対象にした「新興市場IRサイトランキング」上位5社は、以下のようになりまし た。
順位 得点 会社名 前回
1位 7.41 トライステージ 1位
2位 7.38 メディカル一光 3位
3位 7.13 ハーモニック・ドライブ・システムズ 4位
4位 6.96 エスプール
5位 6.92 ケアサービス

【ランキング上位企業の評価理由】

 今年度はコニカミノルタが初の総合第1位を獲得しました。
企業サイト全体のリニューアルを行い、大幅にWebページの使いやすさの改善やIR情報の充実化が図られ全体的に優れたサイトになりました。大きなフォントサイズでのテキスト掲載や上部固定メニュー配置を行い、知りたい情報が探しやすいデザインとなっています。また、アクセスランキングや個人投資家の皆様へ見せたい情報を各ページに設置させIR情報に到達できる動線が数多く用意されています。企業情報においても動画ライブラリー、シンボルロゴの説明、資料ダウンロードなど利用者視点で細やかなコンテンツページが提供されています。

 総合第2位はカプコンとなりました。
 以前から財務情報が充実しており、決算説明会資料においては、動画コンテンツのほか、説明要旨付きのプレゼンテーション資料を用意するなど投資家へ向けた資料を豊富に提供しています。ソーシャルメディア対応もFacebook、Twitter、YouTubeでIR情報専用のアカウントを持つなど、幅広い層の投資家に対し、積極的に情報を発信しています。また、他の企業ではあまり掲載されていないアナリストのレーティングやコンセンサス等、投資の判断材料となる貴重な情報が提供されています。IRサイト全体できめ細かな情報量と高い発信力の優位性が際立っています。

 総合第3位はソフトバンクグループとなりました。
 事業戦略について、マネジメントメッセージとともに各事業戦略の内容を説明しており、投資家にわかりやすい情報発信を行っています。また、「説明会資料・動画」ページは、ページ上部に「年度」や「決算説明会」、「記者説明会」「株主総会」「投資家説明会」のカテゴリ選択ボタンが設置され、一覧情報の並び替えができる機能が設置されています。株主および投資家が閲覧した説明会資料を容易に検索でき、スムーズな情報提供を心掛けている姿勢がうかがえます。

【総評とIRサイトのトレンド】

・292社を2018年「IRサイト優秀企業」に選定
 「Gomez IRサイトランキング2018」のノミネート企業359サイトのうち総合得点6.00点以上に贈られる「IRサイト優秀企業」に今年度は292社が選定されました。昨年の268社から24社の増加となります。
 主な増加要因としては、昨年に引き続き各企業におけるWebアクセシビリティへの対応や、昨今のWebサイトの閲覧環境変化に対応して行ったリニューアルの際にIR情報や企業情報、業績ハイライトが充実してきていることが考えられます。

・コーポレートガバナンス対応
 企業の非財務情報として「取締役会のあり方」「社外取締役の活用」「経営陣の指名・報酬のあり方」など、経営トップを含めた取締役の指名プロセスにおける客観性・適時性・透明性の確保が重要なテーマとなり、Webサイトで掲載することへの重要性が高まっています。今回のノミネート企業において、役員報酬・監査報酬支払額をHTML形式で掲載しているのは359社中123社、同じく役員報酬の選定基準をHTML形式で掲載しているのは、359社中156社でした。経営環境の変化に対応した経営戦略を掲載し、多くのステークホルダーとより良い関係構築に向けてWEBサイトを活用することが重要となります。

・ESG情報の掲載
 ESG投資が日本でも本格的に注目されてきました。中でも「持続可能な開発目標(SDGs)」に関連した情報をWEBサイトに掲載しているかどうかが、投資家の興味・関心を集めています。今回ノミネート企業で「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する情報をHTML形式で掲載していたのは359社中85社でした。非財務情報の積極的な情報開示は、投資家に対して企業が社会的責任を果たし、しっかりとしたガバナンスを確保する意向を伝える手段として、これからも重要な施策となってきます。

・スマートフォン対応 
 昨年に引き続きデバイスの多様化に伴い、IRサイトにおいてもスマートフォン専用ページや、タブレットからパソコンまで閲覧環境に応じて可変するレスポンシブでWEBコンテンツを構築した企業が増えました。マルチデバイスに対応したIRサイトの重要性は今後も増大していくことが予想されます。
 IRページのスマートフォン対応は上場企業※3,626社中1,938社(約53%)が行っていました。2017年対応企業(35%)に比べ18%アップしています。企業情報だけでなく、IRページ全体もスマートフォン対応され、投資家が容易にIR情報をチェックできる環境が整ってきていると言えます。
※2018年10月1日時点

【トピックス】

(1) IRサイト優秀企業2018
IRサイト優秀企業:金賞(全14社)
得点 企業名   得点 企業名
8.90 コニカミノルタ   8.80 カプコン
8.73 ソフトバンクグループ   8.70 KDDI
8.33 三菱重工業   8.26 伊藤忠商事
8.21 曙ブレーキ工業   8.19 TDK
8.17 キリンホールディングス   8.16 SOMPOホールディングス
8.15 トプコン   8.13 みずほフィナンシャルグループ
8.07 小松製作所   8.06 りそなホールディングス
IRサイト優秀企業:銀賞(全101社)
得点 企業名   得点 企業名
7.99 NTTドコモ   7.96 ニコン
7.95 双日   7.95 オリエンタルランド
7.89 日本電気   7.86 国際石油開発帝石
7.85 エヌ・ティ・ティ都市開発   7.80 富士電機
7.80 リクルートホールディングス   7.79 豊田通商
7.79 ベネッセホールディングス   7.78 オリンパス
7.76 サイバーエージェント   7.75 トーセイ
7.75 Jトラスト   7.73 レオパレス21
7.71 LIXILグループ   7.71 三菱瓦斯化学
7.69 丸紅   7.66 日本電信電話
7.65 ライオン   7.64 中外製薬
7.64 フィールズ   7.63 セガサミーホールディングス
7.63 ミネベアミツミ   7.61 ドンキホーテホールディングス
7.60 野村不動産ホールディングス   7.57 凸版印刷
7.56 東京海上ホールディングス   7.55 リンテック
7.54 丸井グループ   7.54 UACJ
7.50 グローリー   7.49 ソニーフィナンシャルホールディングス
7.47 大京   7.46 ヤマハ発動機
7.43 第一生命ホールディングス   7.43 三菱UFJフィナンシャル・グループ
7.43 富士フイルムホールディングス   7.42 SUBARU
7.42 TIS   7.41 クレスコ
7.40 三井物産   7.39 明治ホールディングス
7.39 アサヒグループホールディングス   7.38 リコーリース
7.38 パルコ   7.37 オムロン
7.34 イオンディライト   7.33 T&Dホールディングス
7.32 千趣会   7.32 オエノンホールディングス
7.30 積水化学工業   7.29 リコー
7.29 東京建物   7.29 西武ホールディングス
7.28 JFEシステムズ   7.28 ヤマハ
7.28 日産化学   7.27 電通国際情報サービス
7.27 サンゲツ   7.26 日本通運
7.26 TOKAIホールディングス   7.26 ANAホールディングス
7.26 日本特殊陶業   7.25 大日本住友製薬
7.25 トライステージ   7.25 エムティーアイ
7.24 アルトナー   7.23 アコム
7.23 明光ネットワークジャパン   7.21 メディカル一光
7.21 日本碍子   7.20 イオン
7.19 日本ユニシス   7.19 JXTGホールディングス
7.18 ヒューリック   7.18 東レ
7.17 資生堂   7.16 川崎重工業
7.16 MS&ADインシュアランスグループホールディングス   7.16 東急不動産ホールディングス
7.16 アステラス製薬   7.16 日本航空
7.11 日立製作所   7.10 ラサ商事
7.10 昭和電工   7.10 宇部興産
7.09 住友金属鉱山   7.08 ファーストリテイリング
7.08 味の素   7.07 栗田工業
7.06 ダイドーグループホールディングス   7.06 三菱商事
7.04 プロネクサス   7.03 SBIホールディングス
7.02 大東建託   7.02 TOA
7.00 ブラザー工業   7.00 関西電力
7.00 東京瓦斯      

IRサイト優秀企業:銅賞(全177社)
 GomezのWEBサイトをご覧ください。

(2)ランキングアップ企業
今回のIRサイトランキングにおいてもWEBサイトのリニューアル、コンテンツの拡充や新規機能の追加等により、充実したIRサイトが数多く見られました。その中でも特に2017年調査時よりスコアを大きく伸ばした企業は下記の通りです。

前回調査からスコアを大きく伸ばした企業
前回比 得点 企業名
+1.63 7.28 日産化学
+1.30 7.41 クレスコ
+1.26 6.86 セコム
+1.12 6.74 ダイキン工業
+1.06 7.19 JXTGホールディングス
+1.00 7.79 ベネッセホールディングス
+0.90 6.90 森永乳業
+0.88 6.60 千葉銀行
+0.86 7.00 ブラザー工業
+0.79 6.59 沢井製薬
(3)業種別ランキング第1位企業
業種 得点 企業名   業種 得点 企業名
水産・農林業 6.73 日本水産   精密機器 8.15 トプコン
鉱業 7.86 国際石油開発帝石   その他製品※ 7.57 凸版印刷
建設業 7.02 大東建託   電気・ガス業※ 7.00 関西電力、東京瓦斯
食料品 8.17 キリンホールディングス   陸運業※ 7.29 西武ホールディングス
繊維製品※ 7.18 東レ   海運業 6.69 日本郵船
化学※ 7.71 三菱瓦斯化学   空運業 7.26 ANAホールディングス
医薬品※ 7.67 中外製薬   倉庫・運輸関連業
石油・石炭製品※ 7.19 JXTGホールディングス   情報・通信業 8.80 カプコン
ゴム製品※ 6.25 横浜ゴム   卸売業 8.26 伊藤忠商事
ガラス・土石製品 7.26 日本特殊陶業   小売業 7.61 ドンキホーテホールディングス
鉄鋼   銀行業 8.13 みずほフィナンシャルグループ
非鉄金属 7.54 UACJ   証券・商品先物取引業 7.03 SBIホールディングス
金属製品 7.71 LIXILグループ   保険業 8.16 SOMPOホールディングス
機械 8.33 三菱重工業   その他金融業 7.75 Jトラスト
電気機器 8.90 コニカミノルタ   不動産業 7.85 エヌ・ティ・ティ都市開発
輸送用機器 8.21 曙ブレーキ工業   サービス業 7.95 オリエンタルランド
※前回調査から第1位企業の変更があった業種

【調査概要】

調査期間 ♦ 2018年4月1日~2018年11月1日まで
♦ ランキング結果は、2018年10月1日時点の各サイトに基づいています。
調査対象 ♦ 22018年10月1日時点の国内証券取引所上場企業
調査範囲 ♦ IR情報、ならびに会社情報やサステナビリティ情報が掲載されたページを調査
♦ 採用サイト、商用サイト、製品・ブランドサイト等は、評価範囲から除外
調査手順 ♦ 上記の調査対象企業について、約12項目の予備調査を行い、一定基準を満たす企業を最終調査にノミネート。
♦ ノミネート企業を237の調査項目からなるスコアカードに基づいて、当社のアナリストが実際にWEBサイトを使用しながら調査を行い、総合ランキングを決定。
♦ 総合得点6.00以上をIRサイト優秀企業として選定(2018年調査では292社が該当)。

【評価方法】

カテゴリ名称 評価内容
ウェブサイトの使いやすさ IR情報を提供するWebサイト全体のユーザビリティを評価するカテゴリです。情報の見つけやすさや各コンテンツの見やすさ・使いやすさ、Webアクセシビリティ基準への対応状況等を総合的に評価します。
財務・決算情報の充実度 財務や決算に関する情報量を評価するカテゴリです。Webサイト上に掲載されたディスクロージャ資料や説明会情報など、主に業績を中心とする定量的な情報の充実度を総合的に評価します。
企業・経営情報の充実度 企業や経営に関する情報量を評価するカテゴリです。会社情報、経営戦略、コーポレートガバナンスやサステナビリティなど、企業に関する定性的な情報の充実度を総合的に評価します。
情報開示の積極性・先進性 基本情報の一歩先を進んだ情報開示を評価するカテゴリです。個人投資家向け情報や英語による情報開示などのコンテンツ面、動画・音声配信、ソーシャルメディア、スマートフォン対応などの機能面の両面から評価します。

Gomezについて
 Gomezは、インターネット上で提供されるサービスを中立的な立場から評価・分析し、インターネット利用者の利便性向上とEコマース市場などの拡大に貢献するための情報提供・企業向けのアドバイスを目的とし、消費者・企業双方に対して利益となる情報を掲載しています。
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以上