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ステークホルダーのみなさまへ

今年、SBIグループは創業20周年を迎えました。この20年間の成果を当社グループの三大事業ごとで見ますと、金融サービス事業ではオンラインをメインチャネルとした証券・銀行・保険事業を中心にする金融生態系の確立、そしてアセットマネジメント事業ではグローバルな投資体制と資産運用体制の構築、バイオ関連事業においては5-アミノレブリン酸(ALA)関連の研究開発・製造・販売体制を世界的に確立しました。これまでの当社グループの飛躍を支えてくださった株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまへ感謝申し上げるとともに、今後も「自己否定」「自己変革」「自己進化」の3つのプロセスを通じて「自ら未来を創っていく」企業グループとして、挑戦し続けてまいりますので、一層のご指導、ご支援を賜りますよう深くお願い申し上げます。

過去 1999年にSBIグループが誕生

インターネットがもたらした金融業の構造変化

SBIグループは、1999年にソフトバンク(株)(現 ソフトバンクグループ(株))の金融子会社としてスタートしました。創業当時の日本は、インターネット革命❶と日本版金融ビッグバン❷の2大潮流によって金融業界に変革がもたらされようとした時期であり、技術革新によって金融業界が変革した第1次変革期とも言える時代でした。インターネットの波がやってくるのを感じた私は、インターネットと金融業の親和性の高さに目をつけ、SBIグループを創業する決意をしました。金融業とは本来、商品の物理的移動を伴わない数字や取引データだけの情報産業であるため、インターネットとは親和性が非常に高く、金融業界に変革が起こることは当然のことだと考えていました。
インターネットの普及によって誰もが費用をかけずに、簡単に情報を収集することが可能になったことで、それまでベンダー側にあった優位性が顧客側へ移行しました。このような時代背景と環境変化の中で、証券・銀行・保険のインターネット市場は急拡大し、インターネットを活用した様々な金融サービスを提供するSBIグループは、市場を牽引してきました。SBIグループの20年を振り返りますと、次にお客さまが求めることを予測し、常に挑戦し続けることで新たな分野を開拓した「自我作古」を実行してきたと言えるのではないでしょうか。

SBIグループの成長を支えた要諦

先ほど述べたように消費者主権の時代になる中で、何を提供すれば高い顧客便益性をもたらせるのかを考えたとき、当時、規制緩和により株式売買委託手数料が自由化されたことから、可能な限りこの手数料を安価にすることだと考えました。こういった考えに基づいて、「顧客中心主義❸」を事業構築の基本観の一つとして掲げ、例えばイー・トレード証券(現 SBI証券)では事業を開始したとき、株式売買委託手数料をオンライン証券の中で最も安くしました。反対意見もありましたが、手数料を安くすれば多くの顧客が集まり、そうなると顧客満足度を高めるために商品の品揃えを充実させたり、システムがダウンしないようにサーバーの数を増やしたりと、ヘーゲルの「量質転化の法則❹」で述べられているように量の増加に合わせてサービスの質が高まるという好循環が 生まれると考えたのです。
 一方で、顧客の資産管理の観点から金融業の本質を改めて考えますと、顧客は自らの資産の ポートフォリオをその時々のリスクと機会の大小によって組み替えているのが実情です。しかもインターネットが普及してからは、お金の移動に関するコストは劇的に下がり、お客さまは証券・銀行・保険といった金融事業間の法・制度によって作られた垣根を越えて、資産を自由に行き来させタイムリーに自己の資産ポートフォリオを構築することが可能となりました。こういった本質を踏まえて、証券・銀行・保険などの多岐にわたる金融サービスを手がけるエコシステムである企業生態系の発想が生まれ、金融生態系の構築により、これまで以上に顧客便益性の高いサービスを提供できるようになると考えたのです。
 もう一つ重要なものが「複雑系の科学❺」という考え方です。この考え方に沿って事業を展開するならば、互いに作用し合う企業集団をつくることができれば一社が単独で事業を営む時とは異なり、グループ各社の強いつながりのもとで1+1を3や5にできると考えました。これらの考えを実行し企業生態系を形成するために、短期間で次々にグループ各社を設立しましたが、結果として相乗効果と相互進化によってグループ各社は早期での黒字化を達成し、全体で見ればグループ収益力を強化することができました。これらの戦略を実行してきたことで2019年3月期の連結業績は、2013年3月期からのIFRS適用後における過去最高の収益および利益を達成しました。

インターネット革命:
インターネットの急速な普及に伴い、だれでもインターネット上の情 報にアクセスできるようになることで消費者主権が確立し、金融サービスに変化をもたらした。
日本版金融ビッグバン:
1996~2001年度に政府が実施した大規模な金融制度改革で、通称日本版金融ビッグバン。株式売買委託手数料の完全自由化や金融持株会社の設立が認められた。
顧客中心主義:
→P.10参照
量質転化の法則:
ドイツの哲学者ヘーゲルが説いた、ある個別の量的変化は質的変化に転化し、新しい質を持った個別へと変わり、そして変化した個別は、新しい質の運動として新たな量的変化のプロセスを歩んでいくというもの。
複 雑系の科学:
「複雑系の科学」という考え方には二つの命題があり、一つは「全体は部分の総和以上である」、もう一つが「全体には部分に見られない新しい性質がある」というもの。

未来 金融の枠を超えて革新的な事業を展開

持続的成長に向けた長期的展望

当社グループは現在、21世紀の中核的産業であるフィンテック、AI、ブロックチェーン、量子コンピューターなどの技術分野に投資し、様々な技術を吸収する集合体になっていると思います。私どもは、それらの新技術を、金融分野を超えて様々な産業向けに拡散し、次世代の社会変革をもたらしたいと考えています。まさに“ SBI”の略称である“Strategic Business Innovator(戦略的な事業イノベーター)”として、「金融を核に金融を超える」革新的な事業を次々と生み出す最先端の企業群をこれからも目指していきます。
 こういった長期的展望の具現化に向けた、当面のSBIグループの全体戦略についてご紹介 しましょう。

フィンテック1.5~2.0への移行
創業以来、SBIグループはインターネットの急速な普及とともに、ITを活用した独自のビジネスモデルを構築してきました。金融サービス事業の生態系である金融生態系は、証券事業に始まり、銀行事業、損害保険事業、生命保険事業を順次展開し、2016年に完成しました。伝統的な金融機関が苦しい経営環境に陥るなか、当社グループに飛躍的成長をもたらしたこの金融生態系を私はフィンテックの初期段階であるフィンテック1.0としています。現在、当社グループが構築しているフィンテック1.5は、新たな技術革新分野として注目されるAIやビッグデータ、IoT、ロボティクス等々の要素技術やブロックチェーンを、完成したWebベースのインターネット金融生態系(フィンテック1.0)上で活用するものです。更に、私はフィンテックと呼ばれる技術の中で、ブロックチェーンこそ、大きな社会変革を起こす可能性を秘めているものと考えています。近い将来、ブロックチェーンベースのアプリケーションによる革新的な金融サービスの提供が可能となり、ブロックチェーンを中核技術とするフィンテック2.0の時代が来ると考えています。フィンテック1.5~2.0への移行に向け、ファンド❻の設立を通じて新たな技術革新分野に投資するとともに、SBIグループ各社で投資先のフィンテック等の新技術導入により、更なる商品の多様化・ビジネスプロセスの効率化❼を進めています。

新技術を主な対象とするファンドの設立:
→P.20参照
商品の多様化・ビジネスプロセスの効率化:
→P.33参照

「Money Tap」によるキャッシュレス化への貢献
SBIグループが構築しているフィンテック1.5、更にその先のフィンテック2.0において最も重要な技術であるブロックチェーン・分散台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)を用いたソリューションを提供するのが、当社グループのマネータップ社❽です。マネータップ社は、2018年10月に開始したDLTを用いたスマートフォン向け送金アプリ「Money Tap❾」、そして、DLTを用いた次世代金融インフラを迅速に展開するため、2019年3月に設立されました。既存の中央集権型システムと比べて、DLTは「低コスト、低ストレ」という特長を持ち、今後、金融・非金融の分野を問わず広く普及していくと考えられます。逸早くDLTを用いて実用化した「Money Tap」では、接続銀行の基幹システムとダイレクトにつながることで、24時間365日利用可能で、送金手数料無料(2019年6月時点)を実現しました。まさに次世代のサービスと言っても差支えないものでしょう。現在は、マネータップ社の株主として参加いただいている金融機関や、パートナーである米Ripple社とも協力しつつ、QRコードを用いた加盟店決済サービスを含む様々な顧客便益性の高いソリューションの開発を進めており、国策としても進展するキャッシュレス決済の普及にも貢献していきます。

将来の資産形成層の開拓に向け、若年層ユーザーの獲得を強化
SBIグループの創業当時はパソコンが急激に普及した時期で、インターネットの利用手段はパソコンが主流でした。現在では、いつでも、どこでも簡単にアクセスできるという利便性の高さからスマートフォンやタブレットといった端末の利用が、20代・30代を中心にパソコンを上回る状況となっており、当社グループの各種金融サービスにおいてもモバイル端末を利用した金融取引を拡充することで、今後の資産形成層として期待される若年層ユーザーの取り込みを強めています。
 SBI証券では2018年10月に、共通ポイントサービス「Tポイント❿」のライフスタイル・データを基にしたマーケティングプラットフォーム事業を行うCCCマーケティング(株)と共同で、スマートフォンを使った国内株式の取引等に特化したSBIネオモバイル証券を設立し、2019年4月から営業を開始しています。SBIネオモバイル証券の顧客属性は20代から30代で40%を占め、SBIグループの他の顧客属性と比較しても20代の割合が大きいのが特徴です。SBIネオモバイル証券を中心に暗号資産(仮想通貨)交換業を営むSBI VCトレード(旧 SBIバーチャル・カレンシーズ)やSBI FXトレード、スマートフォン向け送金アプリ「Money Tap」等グループ各社の金融サービスと連携し、Tポイント経済圏を活用した相互送客を行うなどグループ内のシナジーを追求することで、投資初心者や若年層ユーザーを徹底的に獲得していきます。

アンバンドリング化が進む金融業界とネオバンク化の推進
従来、銀行には「預金」「融資」「為替」を中心とする、銀行固有の伝統的な業務がありましたが、フィンテックの進化や各国当局の法整備によって、そうした分野への異業種参入が加速しています。銀行機能のアンバンドリング化(分解)が進んでおり、銀行のビジネスモデルは転換期を迎えているのです。そうした状況に対応するべく、住信SBIネット銀行では、ネオバンク構想を推進しており、2018年10月にはネオバンク事業部を創設しました。このネオバンク構想とは、銀行機能を外部の様々な事業者に金融プラットフォームとして提供し、銀行だけでは成し得ない新たなサービスを創出していくというものです。2016年に日本で初めてAPI連携(参照:P.63用語集)を開始して以降、銀行機能を外部企業のサービス利用者に提供しています。更に2018年11月には日本航空(株)との提携によって設立した共同事業会社JALペイメント・ポート(株)⓫で、Mastercardブランドのトラベルプリペイドカード「JAL Global WALLET⓬」の提供を開始しました。現在もリクルートグループや旭化成ホームズグループ等の複数の大手事業者と協議中であり、様々な事業 者とのアライアンスを通して、銀行だけでは創造できない新たなサービスを創出していきます。

地域金融機関との共創
SBIグループでは現在、地域金融機関に私どもが有する経営資源を提供し、足元で続く日銀のマイナス金利政策や、フィンテックによる金融イノベーションの進展、更には人口高齢化社会の到来により、短期・中期・長期にわたって厳しい経営環境に置かれている地域金融機関を活性化させるとともに、延いては国家戦略である地方創生(参照:P.63用語集)に貢献するべく様々な取り組みを進めています。
 まずフェーズ1の取り組みとして、金融サービスを提供するグループ各社では、地域金融機関へ提供する商品・サービスを拡充しています。例えばSBI証券では、地方顧客の資産形成ニーズに対応するため地域金融機関に向けて金融商品仲介業サービスを提供しており、2019年6月末現在で34社と提携しています。またSBIマネープラザでは地域金融機関との共同店舗を2019年6月末現在で6店舗運営するなど、提携先地域金融機関の顧客に対する、対面コンサルティングを通じた幅広い金融商品の販売も支援しています。資産運用ニーズへの対応も進めており、地域金融機関との共同出資で設立した資産運用会社であるSBI地方創生アセットマネジメントは、2019年3月末現在で出資参画する地域金融機関が35行にまで拡大しています。同社には、当社グループの資産運用ノウハウやグローバルなネットワークから得られるファンド情報等の資源を投入し、顧客預り資産の運用と自己資金運用の両面から地域金融機関をサポートするとともに、人材育成などにも寄与しています。
 続いてフェーズ2の取り組みとしては、日本アイ・ビー・エム(株)、ソフトバンクグループ(株)、凸版印刷(株)との合弁会社であるSBI FinTech Incubation⓭やSBIネオファイナンシャルサービシーズ⓮が中心となって新たなテクノロジー等の活用を通じた地域金融機関のテクノロジーの再構築支援を展開しています。SBI FinTech Incubationではフィンテックの導入支援体制としてフィンテックプラットフォームを構築し、地域金融機関へのフィンテック分野のサービス等の導入を支援しています。このプラットフォームは、フィンテックベンチャー企業の有するサービスやシステムを導入するためのAPI基盤を提供するもので、これを導入することによって金融機関は先進技術の導入コストを最小化することが可能になります。
 このほか、グループ内外の金融機関に海外のフィンテック企業の先進的なソリューションを導入するべく、合弁会社の設立や業務提携を推進しています。例えば、当社グループの投資先でもある韓国のセキュリティ企業EVERSPIN社との合弁で2018年11月にはSBI EVERSPINを設立したり、2019年1月にはドイツのwefox Germany社が有するAIとビッグデータアナリティクスに関するソリューション等を活用した保険販売・コンサルティング支援事業を展開するSBI wefoxAsiaを設立するなど順次サービスの拡充を進めています。
 更にフェーズ3として、地域金融機関の全国展開に向けSBIグル―プが全面支援する共同持株会社を設立し、一部業務(KYC、AML(参照:P.63用語集)共通システムの開発導入、内外融資機会 の共有化等)を地域金融機関と一体的に運営する体制の構築に向けた取り組みを進めています。

マネータップ社:
Money Tap事業を早期に展開するために、2019年3月に設立。地方銀行等20行が共同出資会社として参加(2019年6月末現在)。
Money Tap:
米R i p p l e 社の分散台帳技術(DLT)である「xCurrent」を基盤技術とし、銀行口座から銀行口座への個人間送金を24時間365日リアルタイムかつ安全・快適に行うことが可能なスマートフォン向け送金アプリ。
Tポイント:
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)が展開するポイントサービス。スーパー、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、レストランといった店舗やインターネットサービスと提携。
JALペイメント・ポート(株):
住信SBIネット銀行と日本航空(株)(JAL)、ならびにSBIホールディングスとJALの共同持株会社であるJAL SBIフィンテック(株)の3社による共同事業会社。
JAL Global WALLET:
JALペイメント・ポート(株)が提供するJALマイレージバンク(JMB) 会員を対象としたサービスで、JMBカードの基本機能にMastercardのプリペイド決済機能が追加されたカード。
SBI FinTech Incubation:
→P.49参照
SBIネオファイナンシャルサービシーズ:
SBIグループが培った豊富なオンライン金融の経験をもとに、最新技術を有する海外企業との合弁会社 設立などを通じて、国内外の最新技術・サービスをローカライズして、主に地域金融機関等に提供していく中間持株会社。

デジタルアセットを基盤とした生態系の構築
SBIグループでは成長戦略の一つとして、デジタルアセットを基盤とした生態系の構築を掲げています。暗号資産の時価総額は、投機的需要の増加に伴い一時的に急拡大し、2018年1月にピークに達した後、大幅に下落しました。しかし私は、暗号資産は投機を主体としたものから実需・実用性を追求するステージに移っていくとみていますし、SBIグループのデジタルアセット関連事業も収益化が見込まれています。
 デジタルアセット関連の事業を展開する会社としては、暗号資産交換業のSBI VCトレードや暗号資産のマーケットメイカーであるSBIアルファ・トレーディング、暗号資産のマイニングを行うSBI Crypto、デジタルアセット分野のベンチャー企業に対する投資活動を行うSBIクリプトインベストメントなどがあります。SBIホールディングス、SBIインベストメントやSBIクリプトインベストメントが暗号資産に関わる高度な技術力を有するベンチャー企業に出資することで、この生態系の更なる強化を進めています。
 2017年9月に暗号資産交換業の登録を受けたSBI VCトレードでは、2018年6月より口座開設の先行予約者を対象とした暗号資産の現物取引サービス「VCTRADE」を開始しました。2018年7月からは一般の新規口座開設の受付を開始し、その後も顧客資産の保全を第一としながら順次サービスを拡充しています。また、米国運用会社CoVenture Holding Company社⓯とともに暗号資産を組み入れたファンド事業を展開するために設立したSBI CoVenture Asset Managementでは、ファンド事業の準備は完了しており、暗号資産に関する新法案が制定された段階(参照:P.63用語集)で事業を開始する予定です。事業の開始後はSBI CoVenture Asset Managementが組成・運用するファンドから暗号資産へ投資を行うとともに、グループ各社とのシナジーを活かした事業を展開していきます。
 更に2019年3月には、暗号資産のマイニングチップの製造ならびにマイニングシステムの開発を行うSBI Mining Chip⓰を設立しました。これまで当社グループでは海外を中心に暗号資産のマイニングを行ってきましたが、今後はSBI Mining Chipを通じて、マイニング専用チップ製造とマイニングシステム開発の領域にも進出します。
 暗号資産で用いられる重要な技術の中に分散台帳技術(DLT)がありますが、その活用と拡散にも注力しています。世界で最もグローバルスタンダードに近い技術を有するのが先述した米Ripple社と「Corda⓱」を提供する米R3社だと考えており、両社との協業を推進しています。当社グループはRipple社、R3社両社の外部筆頭株主であるとともに、Ripple社とは2016年に合弁会社SBI Ripple Asiaを設立し、またR3社とも2019年1月に合弁会社SBI R3 Japanを設立するなど提携関係を強化しています。これら2社のソリューションは暗号資産だけでなく、今後は国際送金や貿易金融を含めた様々な金融事業におけるグローバルスタンダートになると考えており、2社の親和性を活用した送金・決済システムを構築するなど、金融サービスの拡大に向けて注力していきます。

潜在的な企業価値の顕在化
一部の機関投資家からのご意見として、SBIホールディングスは事業が多岐にわたるため、全体としての理解が難しいといった声や、コングロマリット・ディスカウントへの懸念などが挙がります。こういったご意見を受け、SBIグループの潜在的な企業価値の顕在化に向けてグループ子会社の新規株式公開等を推進しています。グループ子会社の新規株式公開戦略に対しては基本方針⓲を設けて検討・推進しており、2018年9月には当社グループの保険関連事業各社を集約した中間持株会社であるSBIインシュアランスグループを東証マザーズに公開しました。同社の新規公開時の時価総額は500億円となっており、保険関連事業における事業価値を顕在化させたことに加え、市場から調達した資金によって特にSBI損保の財務基盤が強化されました。
 また当社グループ子会社で、低分子干渉RNA分野(siRNA)で優れた技術を有している米国のバイオベンチャー企業のクォーク社では、新薬承認申請(NDA)手続きへの移行に関して米国FDAと協議中のパイプラインのほか、フェーズⅢ段階にある創薬パイプラインの臨床研究が進んでいることから株式公開に向けた準備を進めています。また、将来の収益の柱の一つとして期待しているALA関連事業では、中間持株会社であるSBI ALApharmaにおいてグローバルな事業体制が整ってきていることから2~3年後での株式公開を目指し、組織体制の再構築に動き出しています。更に、既に東証ジャスダック市場に公開しているモーニングスターについては、東証1部上場への市場変更を計画しており、今後は当社グループの資産運用サービス事業をモーニングスターに集約させることで、資産運用体制の一層の強化を図ります。他にも、オペレーティングリース事業を行うSBIリーシングサービス、アセットマネジメント事業の中間持株会社であるSBIキャピタルマネジメント、医薬品の研究開発等を行うSBIバイオテックについても新規株式公開を検討しています。

志念の継承
SBIグループがこれからも自ら未来を作る、まさに「自我作古」を成し遂げて行くためには、変化の予兆を捉えることが肝要で、その上で「自己否定」、「自己変革」、「自己進化」を続けなければなりません。現状維持で良いのかを常に自らに問い続け、世の中の変化に先んじて自らも変わるべきではないかを考える。こういったことを不断なく続けて行く先に繁栄があると思います。SBIグループを設立するにあたっては経営理念を策定しましたが、金融業に携わる私どもにとって「正しい倫理的価値観を持つ」ことが何よりも重要です。このような「志」を引き継ぐ社員を増やし、SBIグループ が永続的に、世のため、人のためとなり、社会に必要とされる企業グループとなることを目指しています。

CoVenture Holding Company社:
新興アセットクラスへの投資に特化したブティック型の運用会社で、これまでベンチャー投資や直接融資のファンドにおいて高いパフォーマンスを実現。また、同社には暗号資産に高い知見を持つ投資家やアドバイザーが参画。
SBI Mining Chip:
マイニング専用チップ製造とマイニングシステム開発の領域に進出。同分野で実績のある米国の大手半導体素子メーカーと連携してSBIグループのマイニング事業を推進。
Corda:
米R3社が開発した分散台帳技術(DLT)を活用した企業間取引のプラットフォーム。
グループ子会社の新規株式公開戦略に対する基本方針:
以下の5つに基づいて新規株式公開を推進しています。

1. その会社の事業価値が株式市場からほとんど評価されておらず、公開することでその事業価値が可視化でき、延いては当社の企業価値の増大につながる場合
2. システムを中心とした大規模な設備投資を継続的に行うことが必要であったり、多額の運転資金を必要とし、事業の拡大に伴って資本の増加が必要な場合
3. 子会社を通じた国内での銀行業や保険業の展開に際して、日本の法制度上、経営の自由度を保つため、機動的な事業体制の確立が必要な場合
4. その会社の事業が中立性を要求される場合
5. グループ内企業間でのシナジー効果が薄く、グループの事業ポートフォリオの観点から公開して株主価値を顕在化させたほうが良い場合や、グループ戦略上その企業の戦略的重要性が低下した場合

SBIホールディングス株式会社
代表取締役社長
北尾 吉孝

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