本文への移動 カテゴリーメニューへの移動
  1. ホーム
  2. 株主・投資家の皆様へ
  3. 経営方針
  4. ステークホルダーの皆様へ
フォントサイズ

ステークホルダーのみなさまへ

SBIグループは「金融の規制緩和」と「インターネット革命」という2大潮流に乗って、これまで飛躍的な成長を遂げてきました。現在「金融行政の方針転換」と「FinTech革命」という新たな潮流が生まれており、大きな変革の波が金融業界に押し寄せています。こうした環境下でSBIグループは、持続的に企業価値を高めることを目指し、従来の枠組み・価値観を越えた新たなパラダイムへの移行を進めています。具体的には、世界的に大きな潮流となっているFinTech等の新技術をSBIグループがいち早く事業に取り入れること、既存の企業生態系をさらに拡大するべく同業他社を含むグループ外企業との連携を強化すること、そして潜在的な企業価値を顕在化させることなどです。
 「金融行政の方針転換」については、金融庁が「企業と経済の成長と資産形成」を最大の目標に置き、金融機関に対し「顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」を求めていますが、SBIグループにおいては創業以来、「顧客中心主義」を掲げ、顧客利益を最優先する価値観を徹底し、真に顧客の立場に立ったサービスを提供してきた実績があります。今後も「顧客中心主義」に則った取り組みを一層強化・徹底していくとともに、我々が培ってきたノウハウを活かし、日本の金融機関を先導する役目を担っていきたいと考えています。
 ここでは、これらを踏まえ今後実行していく基本戦略を説明したいと思います。

STRATEGY 01 FinTech 2.0へのパラダイムシフト

革新的な金融サービスを提供するFinTech 2.0への移行

私がSBIグループを創業した90年代の日本では「金融の規制緩和[1]」と「インターネット革命[2]」の2大潮流が相まって進行していました。
 我々は金融とインターネットの親和性の高さに目をつけ、インターネットをメインチャネルとする証券事業・銀行事業・保険事業に順次参入し、テクノロジーを駆使することでより高い経済性と利便性を持つサービスを提供してきました。併せてグループ内企業の相乗効果と相互進化を追求する金融生態系の構築を進め、2016年の生命保険事業の営業開始をもって完成を迎えました。このインターネットをメインチャネルとした金融生態系の構築が、SBIグループに飛躍的成長をもたらした主な要因であり、これをFinTech[3]の初期段階であるFinTech 1.0と呼んでいます。
 現在は、新たな技術革新分野として注目されるAI(人工知能)やビッグデータ、IoT、ロボティクス等々の要素技術やブロックチェーンを、完成したWebベースのインターネット金融生態系上で活用するFinTech 1.5の構築が進んでおり、次々と新たな金融ビジネスを創造している段階にあります。
 そうした中、私はFinTechと呼ばれる技術の中で、インターネット上での価値の交換を可能とし、多種多様なデジタル資産の取引を安全に処理できるプラットフォームであるブロックチェーンこそ、大きな社会変革を起こす可能性を秘めていると考えています。このブロックチェーンが進展すれば、ブロックチェーンベースのアプリケーションによる革新的な金融サービスの提供が可能となり、ブロックチェーンを中核技術とするFinTech 2.0の時代が近い将来訪れるでしょう。SBIグループは、このFinTech 2.0時代の完全なるブロックチェーン金融生態系への移行プロセスを推進しています。

[1]金融の規制緩和:
1996~2001年度に政府が実施した大規模な金融制度改革で、通称日本版「金融ビッグバン」。株式売買委託手数料の完全自由化や金融持株会社の設立が認められた。
[2]インターネット革命:
インターネットの急速な普及に伴い、だれでもインターネット上の情報にアクセスできるようになることで消費者主権が確立し、金融サービスに変化をもたらした。
[3]FinTech:
アニュアルレポート2017 P.07参照

投資先FinTechベンチャー企業とのアライアンス強化

技術革新の多くはベンチャー企業から生まれます。FinTech分野については、FinTechの中核的技術であるブロックチェーンやAI、ビッグデータ、IoT、ロボティクス等々の技術開花により、2013年頃よりベンチャー企業が主役となって金融技術の革新が促進されています。そこでSBIグループは、業界初のFinTechに特化した出資約束金総額300億円のファンド「FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合(FinTechファンド)」を2015年12月に設立し、様々なFinTech関連分野への投資を積極化してきました。2017年6月末現在でSBIグループから49社、総額260億円(内、FinTechファンドより150億円)への投資を決定しています。
 さらに、単に投資するだけではなく、投資先ベンチャー企業の技術を他社に先駆けて当社金融サービス事業に導入しています。具体的には、投資先ベンチャー企業とグループ内金融サービス事業各社との提携を通じ、ロボアドバイザー[4]サービスやトランザクションレンディング[5]を開始し、新ビジネスの展開を進めるとともに、パーソナルな保険商品[6]の開発やブロックチェーンを活用した次世代型送金システム[7]の構築など、新たな金融ビジネスの創造や業務効率化を推進しています。

ブロックチェーン等を活用した新金融ビジネスの創出

金融ビジネスにブロックチェーンを活用しようとする様々な取り組みが世界中で進行している中で、私たちSBIグループそして日本企業がグローバルで存在感を高めていくためには、世界規模の先進的な枠組みに参加すると同時に、自らも新ビジネスに参入する必要があります。具体的にはブロックチェーン関連技術である分散台帳技術[8](DLT:DistributedLedger Technology)に強みを持つ米国のFinTech企業Ripple社やR3社に投資しました。Ripple社ではSBI Ripple Asiaをジョイントベンチャーとして設立しました。Ripple社は既に同社の開発した技術基盤Inter Ledger Protocol(ILP)を使用した実用試験を世界各地で成功裏に行っており、世界的注目を集めています。R3社では、外部筆頭株主となり、同社が主導するコンソーシアムにも参画しています。世界各国80社以上の金融機関が参加する同コンソーシアムは、分散台帳技術を活用して金融市場の効率化に取り組むワーキンググループとしては世界最大規模で、2016年11月にオープンソース化した金融機関向け分散台帳技術Cordaの商用化に向けた実証検証を実施しています。SBIグループはそれぞれのグループの他のメンバーである世界の大手金融機関とともに、ILPやCordaを金融分野でのグローバルスタンダードとすることを目指します。
 また、2016年11月に設立したSBIバーチャル・カレンシーズでは、SBIグループのFinTechファンド等の投資先である国内外仮想通貨取引所との連携を進め、ビットコインやXRP[9]等の様々な仮想通貨を取り扱う取引所運営に参入します。本取引所は2017年夏に開業を予定しており、今後は地域内で流通する代用貨幣や引換券、商品券等である地域トークンとの交換など取引サービスの拡充を進めていきます。他にも、グループ内でSBIコイン(仮称)の開発を予定しており、各種仮想通貨や現金、SBIポイント[10]、地金などとの交換により企業間決済やあらゆるデジタル資産を媒介するブリッジ通貨としての利用を目指します。

[4] ロボアドバイザー:
SBI証券はFinTechベンチャー企業ウェルスナビ(株)、(株)お金のデザインの提供するロボアドバイザーサービスをカスタマイズして提供。
アニュアルレポート2017 P.26参照
[5] トランザクションレンディング:
住 信 SBIネット銀 行は決 済 代 行会社ゼウスとの提携により日々の決済データを基に審査する事業性融資サービス「レンディング・ワン」を提供。
アニュアルレポート2017 P.27参照
[6] パーソナルな保険商品:
SBI生命はヘルステックベンチャーの(株)FiNCと提携して、保険加入へのインセンティブや加入者への疾病予防推進の取り組みとして健康管理アプリの提供を開始し、パーソナルな保険商品の開発に向けた取り組みを推進。
アニュアルレポート2017 P.29参照
[7] 次世代型送金システム:
SBIグループは、次世代決済基盤を開発する米Ripple社と合弁会社SBIRipple Asiaを2016年5月に設立。
アニュアルレポート2017 P.14、29参照
[8] 分散台帳技術:
取引データ等を複数の当事者間で共有し分散管理する技術。従来の集中管理型とは異なる技術特性を持つ。
[9] XRP:
米Ripple社が運営・管理する仮想通貨。
[10] SBIポイント:
SBIグループが提供するポイントプログラム。

STRATEGY 02 グループ外企業との連携を強化し企業生態系を拡大

ネットとリアルの両側面でグループ外企業と連携

私たちSBIグループは、インターネットを通じたサービスの提供にとどまらず、顧客一人ひとりにとって最適な金融商品を提案するべくSBIマネープラザというフランチャイジング方式の対面型店舗(約400拠点)などを展開しており、ネットとリアルの両側面からSBIグループの金融サービスを有機的に提供することで高い顧客満足を得てきました。今後は同業・異業種に関わらずSBIグループ外の企業ともネットとリアルの両側面で連携を強化することが必要であると私は考えています。
 従来はグループ内での連携によって顧客便益の高い情報・財・サービスを複合的に提供してきましたが、今後はグループ外企業との連携を強化することで、我々が提供できる商品・サービスの幅を大きく広げていくということです。例えば証券関連事業でいえば、個人型確定拠出年金(iDeCo)の分野において大和証券グループと提携し、両社の経営資源を融合してiDeCo分野におけるサービスを柔軟かつ戦略的に展開しています。このようにグループ外企業の営業力や顧客基盤などのリソースを活用し顧客便益の高い商品・サービスを開発・提供する取り組みを、今後も様々な事業領域で展開していくことによって、企業生態系の拡大を図っていきます。

FinTechの普及を加速化させるオープンイノベーションとAPIエコノミー

SBIグループは、グループ外企業と連携して新たな金融のサービスを次々に展開していますが、FinTechの普及をさらに加速化させる上でカギを握るのは、オープンイノベーション[11]とAPI[12]エコノミーです。
 優れた要素技術を有するベンチャー企業であっても、それぞれの企業が持つ技術だけで1つの商品・サービスとしてビジネスを完結させることができることはほとんどなく、それらの要素技術を組み合わせることによって魅力的な商品・サービスを創出できるものと考えます。また新技術の導入コストをいかに引き下げるかも重要です。これを実現するためには、多くの戦略的パートナーとともに技術導入や商品開発のコストを負担し合い共同開発を進め、1社当たりのコストを引き下げることが有効な手段となります。こうしたオープンイノベーションという手法を使って、SBIグループは多くの地域金融機関と戦略的パートナーシップを結ぼうとしています。
 また、SBIグループのアライアンス強化による先進的な取り組みとしては、いち早いAPIエコノミーの拡充が挙げられます。銀行のAPIを開放しFinTechベンチャー企業と接続することで、これまでになかった画期的なサービスが実現できます。FinTechベンチャー企業が提供するサービス上で、自身の口座の残高や入出金明細といった情報を正確かつ安全に取得できるようになるほか、振込等の実際の資金移動が可能となります。 このAPIエコノミーの拡充に向けて住信SBIネット銀行では、会計や資産管理・資産運用分野の技術開発ベンチャーとのAPI連携を積極的に進めています。

[11]オープンイノベーション:
イノベーションの方法論の1つ。オープンイノベーションの推進に向け日本アイ・ビー・エム(株)との合弁会社であるSBI FinTech Incubationを設立
アニュアルレポート2017 P.14参照
[12] API (Application Programming Interface):
ソフトウェアの機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための仕組み。
アニュアルレポート2017 P.27参照

STRATEGY 03 バイオ関連事業各社の自立に向けた体制づくり

バイオ関連事業の安定的成長を実現する事業体制を構築

私が21世紀の中核的産業の1つであると考えるバイオ関連事業は、2017年3月期においてSBIファーマやSBIバイオテックが創業以来初となる単年度での黒字化を達成するなど、バイオ関連事業各社がそれぞれ利益を生み出せる体制になりつつあります。今後は、医薬品分野でのライセンス導出[13]の拡大や、健康食品分野における機能性表示食品の拡販等によって収益の極大化を進めながら、主要バイオ関連事業各社が新規株式公開を目指すことで、それぞれが自立した事業運営を行える体制を構築していきます。
 中長期にわたる成長を見据え、バイオ関連事業の柱である5-アミノレブリン酸(ALA[14])関連事業では研究開発パイプラインを峻別するとともに、関連分野への開発領域の拡大を図っていきます。例えば術中診断薬(PDD)については、既に上市済みの脳腫瘍に加え、膀胱がんや胃がん腹膜播種に対する臨床フェーズが進んでいますが、この他の様々ながんへの適応拡大を目指していきます。同じく臨床フェーズにあるミトコンドリア病の治療薬についても、パーキンソン病やアルツハイマー病の治療薬開発に応用するなど開発領域の拡大を図っています。

STRATEGY 04 企業価値の顕在化と株主還元の拡充

子会社の上場によって潜在的な企業価値の顕在化を図る

SBIグループでは今後、潜在的な企業価値の顕在化に注力していきます。一部の機関投資家からは、SBIグループの事業分野は多岐にわたっているため理解が難しいといった声や、事業を多数展開していることでコングロマリット・ディスカウントが生じているのではないかといった声が寄せられています。これらの声に対する解として、右記のグループ子会社の新規株式公開を推進し、その事業価値の明示化を図ることで、SBIグループ全体の企業価値の顕在化[15]を実現します。
 グループ子会社の株式公開については現状、子会社6社の上場を検討しています。例えば、既に韓国KOSDAQ市場に上場し、FinTechと親和性のある決済関連事業を営むSBIFinTech Solutions(旧SBI AXES)については、同社のもとにグループ内のFinTech関連企業3社を集約し、FinTechを事業の中核に据えることで成長を加速させ、さらなる企業価値の向上を目指しています。また、保険事業においては、2017年3月に営業を開始した保険持株会社であるSBIインシュアランスグループ[16]の傘下にグループ内で保険事業を営む6社を集約し、保険持株会社として上場を目指しています。このようにグループ各社を再編し、株式を公開することで潜在的な企業価値を顕在化させ、株主価値の向上に努めます。
 私たちSBIグループでは、企業価値とは顧客価値の創出が土台となり、株主価値、人材価値の3つの価値が相互に連関する好循環によって一層増大していくものであると考えています。つまりは、「顧客中心主義」をグループ全体で徹底して顧客価値を増大させることができれば、業績の向上に寄与し、株主価値が増加します。そしてこれによって優秀な人材の確保が可能となり、人材価値の向上につながります。優秀な人材が確保できればより良い商品・サービスを創出することができ、さらに顧客価値が増大するという具合に好循環を生み出せると考えています。

[13]オープンイノベーション:
イノベーションの方法論の1つ。オープンイノベーションの推進に向け日本アイ・ビー・エム(株)との合弁会社であるSBI FinTech Incubationを設立
アニュアルレポート2017 P.14参照
[14] API (Application Programming Interface):
ソフトウェアの機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための仕組み。
アニュアルレポート2017 P.27参照
[15] API (Application Programming Interface):
ソフトウェアの機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための仕組み。
アニュアルレポート2017 P.27参照3
[16] API (Application Programming Interface):
ソフトウェアの機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための仕組み。
アニュアルレポート2017 P.27参照

利益に連動した高水準の株主還元を継続して実施

株主還元については、配当政策の基本方針として、年間配当金について最低配当金額として1株当たり10円の配当を実施することとし、持続的な成長のための適正な内部留保の水準、当面の業績見通し等も総合的に勘案し、さらなる利益還元が可能と判断した場合にはその都度引き上げることとしています。また、配当金総額と自己株式取得額の合計により算出される総還元性向については、親会社の所有者に帰属する当期利益の40%を下限として株主還元を実施することを目指しています。
 2017年3月期は、業績が堅調に推移したことや株式市況を踏まえ、1株当たり10円の中間配当金に加え、期末配当金を1株当たり40円とし、年間配当金は前期比5円増配となる1株当たり50円としました。これで4期連続での増配となります。また、2016年8月から9月においては約80億円の自己株式取得を実施しており、2017年3月期における配当金総額に自己株式取得額を加えた総還元額は約182億円、総還元性向は55.9%となりました。今後も総還元性向40%を下限として株主還元を実施してまいります。
 株主の皆さまにおかれましては、新たな成長ステージに挑むSBIグループに、より一層の ご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

SBIホールディングス株式会社
代表取締役 執行役員社長
北尾 吉孝

関連情報