2011年10月5日
SBIアラプロモ株式会社

 SBIホールディングス株式会社の子会社で 5-アミノレブリン酸(ALA)(※1)を利用した化粧品、健康食品、医薬品の研究・開発等を行っているSBIアラプロモ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員CEO:北尾 吉孝、以下「SBIアラプロモ」)は東京工業大学、金沢大学、NPO法人腹膜播種治療支援機構、理化学研究所との共同研究においてALAを用いた光線力学療法の感受性を左右する因子を特定いたしました。
 このたび、本研究結果を2011年10月4日に開催された第70回日本癌学会学術総会にて発表いたしましたのでお知らせいたします。

 ALAを用いたがんの光動力学的治療(ALA-PDT)(※2)はALAを塗布、もしくは経口投与し、がん細胞に選択的に蓄積するプロトポルフィリンIX(PPIX)に光を照射し、発生する活性酸素により、がん細胞を選択的にアポトーシス(自滅)させる治療法で、侵襲性が低く傷跡が残らないことから欧米では皮膚がんなどで実用化されています。ALA-PDTはがん細胞の種類によりその効果に差が見られ、ALA-PDTの感受性を支配する因子について研究が進められてきました。
 今回の研究では、各種のがん細胞をALA-PDTの感受性で分類し、ALA-PDTの感受性がPPIXの蓄積量に依存することを見出しました。各種のがん細胞株を調べたところALAを取り込むヒトオリゴペプチドトランスポーター(PEPT1)が高いほどPPIX蓄積が高くPPIXを細胞外に排出するABCG2トランスポーターが高いほどPPIXの蓄積量が低いことが観察されました。さらに検討を重ね、PEPT1発現が低い胃がん由来のKKLS株にPEPT1を遺伝子的に強制発現させるとPPIXが蓄積しALA-PDTの感受性は向上しました。さらにPEPT1発現は高いがABCG2も高発現でALA-PDTに抵抗性を示すヒト繊維肉腫由来のHT-1080株にABCG2阻害剤であるFumitremoginCを作用させたところALA-PDT抵抗性が解除されました。
 今回の研究成果を受け、PEPT1の発現を高める、あるいはABCG2を阻害する薬剤がALA-PDTの感受性を高めることが期待されます。

 ALA-PDTの研究を進めることでがんと戦う多くの患者様のお役に立てるよう、一層努力してまいります。
 また、ALAの研究成果と最新情報は、ALAplus研究所(URL:http://www.ala-plus.jp/)からも発信してまいります。

用語解説

※1体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸。ヘムやチトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。ALAは、焼酎粕や赤ワイン、かいわれ大根等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。
※2光動力学的診断(PDD)、ALAを摂取し青い光を照射するとがんが赤く蛍光を示します。脳腫瘍の術中診断薬として弊社がドイツより導入を計画し現在第Ⅲ相試験中。光動力学的治療(PDT)ALAを塗布後、赤い光を照射して発生する活性酸素でがんを殺す手法。欧米では皮膚がんの治療として認可されており、傷跡を残さない美容上優れた治療法として注目されています。

以上