2013年3月25日
SBIホールディングス株式会社
SBIファーマ株式会社
SBIホールディングス株式会社の子会社で 5-アミノレブリン酸(ALA)を利用した医薬品、健康食品及び化粧品の研究・開発等を行っているSBIファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員CEO:北尾 吉孝、以下「SBIファーマ」)は、脳腫瘍の一種である悪性神経膠腫の摘出手術中に使用する体内診断薬について、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたのでお知らせいたします。
当該診断薬は「アミノレブリン酸塩酸塩」を成分とするもので、SBIファーマが医療用医薬品メーカーのノーベルファーマ株式会社(本社:東京都、社長:塩村 仁、以下「ノーベルファーマ」)と共同で開発・承認申請を行っておりましたが、この度SBIファーマは「アラグリオ®内用剤1.5g」の販売名で承認を取得いたしました。
本剤は、悪性神経膠腫の摘出手術中における腫瘍組織の可視化を目的とした光線力学的診断(Photodynamic Diagnosis : PDD)のための経口体内診断薬で、SBIファーマの事業パートナーであるmedac社(ドイツ)がすでに欧州医薬品庁(EMA)の承認を受け、ドイツ、イギリス等欧州の20ヶ国以上の国々で発売しております。日本においては、medac社の子会社であるphotonamic社とSBIファーマとのライセンス契約に基づき、SBIファーマとノーベルファーマの共同事業として開発を進めてまいりました。
承認申請に際して実施した国内臨床試験では、本剤を腫瘍摘出術の2~4時間前に経口投与し、術中に患部に特殊な光を当てることで腫瘍部位を赤く光らせ、正常組織との識別を容易にすることの有効性と安全性が確認されました。
SBIファーマは、このたびの製造販売承認により、アラグリオ®が日本において脳腫瘍摘出手術時の腫瘍摘出率の向上に寄与するとともに、術中及び術後の患者の身体的負担を軽減する新たな治療オプションとしてお役立ていただけるものと考えております。
本剤は私どもにとって第一号の医薬品となり、今後も様々な分野で「アミノレブリン酸塩酸塩」を成分とする医薬品の研究・開発を進めてまいります。
以上
SBIファーマ株式会社は、2008年にSBIホールディングス株式会社とコスモ石油株式会社のジョイントベンチャーとして設立され、5-アミノレブリン酸(ALA)を利用した製品の研究・開発・販売を行っております。医薬品、健康食品及び化粧品分野において、ALAを利用した製品を提供することを使命とし、ALAを活用した革新的な製品を産み出すことを通じて人々の生活をより豊かにすることを目指しております。SBIファーマ株式会社の詳細情報は、同社のウェブサイトhttp://www.sbipharma.co.jp/をご覧ください。
赤ワインやかいわれ大根等の食品にも含まれる「ALA」は、36億年前より存在する天然のアミノ酸の一種です。植物では光合成に不可欠な葉緑素、動物ではビタミンB12、血液成分、細胞内エネルギー産生などに関わることが知られており、種を問わず、極めて重要かつ不可欠な成分として知られています。その応用範囲は脳腫瘍術中診断、がんスクリーニング等の医療分野から、貧血予防の健康食品分野、にきび・肌荒れ等の化粧品分野など多岐に渡っています。
神経膠腫は脳内に存在するグリア細胞の腫瘍で、その多くは予後不良な悪性の腫瘍です。神経膠腫は原発性脳腫瘍の約30%を占め、腫瘍を構成する細胞の形態から何種類かに分類されます。そのうち最も多いのが星細胞腫で、これはその悪性度によって大きく4段階(グレードI~IV)に分けられます。特にグレードIVは膠芽腫と呼ばれ、最も悪性度が高く、極めて予後不良の腫瘍です。神経膠腫の標準的治療として、通常、外科的手術(開頭手術)が行なわれますが、手術で腫瘍を全摘出することは困難であり、多くの場合、術後に放射線治療や化学療法が行われます。