2017年4月24日
SBIファーマ株式会社

SBIホールディングス株式会社の子会社で5-アミノレブリン酸(ALA)(※1)を利用した医薬品、健康食品及び化粧品の研究・開発等を行っているSBIファーマ株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役執行役員社長:北尾 吉孝、以下「SBIファーマ」)は、現在、製造販売承認申請中の「アミノレブリン酸塩酸塩(SPP-005)」(以下「本剤」)を用いた筋層非浸潤性膀胱がん(※2)の患者に対する臨床第Ⅲ相試験において、本剤を用いた膀胱がん切除術(本剤投与後に青色光を照射し赤色の蛍光によりがん細胞を可視化する方法)が、白色光源のみによる従来法(以下「従来法」)より高い感度を示したことが、第105回日本泌尿器科学会学術会議(4月21日から24日にかけて鹿児島市で開催)にて発表されましたので、発表の要約をお知らせいたします。

本剤は、膀胱がんの切除術式の一つであるTURBT(Transurethral Resection of Bladder Tumor:経尿道的膀胱腫瘍切除術)(※3)の施行時における腫瘍組織の可視化を目的とした光線力学的診断(Photodynamic Diagnosis : PDD)用に経口投与される世界で初めての製剤ですが、本剤を用いた臨床第Ⅲ相試験は、筋層非浸潤性膀胱がん患者およびその疑いのある初発例、ならびにTURBT施行後の再発例の61症例を対象として、本剤20mg/kgを経口投与後の蛍光膀胱鏡による膀胱がん診断能を従来法と比較検討することで実施されました。このうちの解析対象集団60症例から得られた511検体(腫瘍陽性181、腫瘍陰性330)を解析した結果、本剤を用いた診断法は、主要評価項目の感度においては79.6%と従来法の54.1%に対してより高く、また、当該診断法では、従来法で検出できなかった46検体(25.4%)についても検出できるなど、有意に高い感度が示されました。

なお、本剤を用いた臨床第Ⅲ相試験は、国立大学法人高知大学、公立大学法人奈良県立医科大学、国立大学法人浜松医科大学、国立大学法人山口大学および学校法人埼玉医科大学国際医療センターの各医療機関で実施されました。

SBIファーマは、膀胱がんと闘われている患者さんおよび医療従事者に本剤を新たな診療の選択肢として一日も早く提供できるよう、一層努力してまいります。

(※1)5-アミノレブリン酸(ALA)とは:体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸。ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与する機能分子の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。ALAは、焼酎粕や赤ワイン、高麗人参等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。
(※2)筋層非浸潤性膀胱がんとは:膀胱筋層への浸潤を有さない比較的早期の膀胱がんで、膀胱がん全体の70-80%を占めます。
(※3)TURBT(Transurethral Resection of Bladder Tumor:経尿道的膀胱腫瘍切除術)とは:開腹せずに尿道から手術用内視鏡を挿入し、膀胱を温存しながら腫瘍を切除する術式のことです。

以上