2018年11月20日
SBIホールディングス株式会社

 当社の子会社で、siRNAの新薬候補物質を数多く保有しているQuark Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国カリフォルニア、Chairman & CEO:Daniel Zurr、以下「クォーク社」)は、これまで「QPI-1002」による腎移植後臓器機能障害(DGF)に対するフェーズⅢ臨床試験を実施してまいりましたが、プライマリーエンドポイント(主要評価項目)が達成されない結果となることが判明いたしましたのでお知らせいたします。

 この試験結果は、良好な結果であったフェーズⅡ臨床試験から移植対象腎臓の虚血状態での移植前冷蔵保存時間を最短26時間から10時間に減らすなどプロトコール(治験実施計画書)の変更に主として起因していると思われますが、今回のフェーズⅢの結果でも冷蔵保存時間が24時間以上であった被験者156名(※被験者全体594名のうち約26%に該当)については、フェーズⅡで見られたDGF発生率および重症度で同様の相対リスク低下が確認され、QPI-1002の有用性が示されました。クォーク社はこの結果を受け、当該被験者集団を中心としたプロトコールでのフェーズⅢの継続実施に向けて米国食品医薬品局(FDA)との協議を進める予定としております。
 また、スイス・ノバルティスファーマは同社に付与しているライセンス契約独占交渉権を維持したい意向を示しており、フェーズⅢ結果の最終分析やFDAとの協議進捗状況等を踏まえ、契約維持条件等の交渉を進めてまいります。

 クォーク社はこのほかに、心臓手術に伴う急性腎不全(AKI)を対象とした「QPI-1002」のフェーズⅢ臨床試験、ならびに非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)を対象にした「QPI-1007」のフェーズⅢ臨床試験を実施しております。

 「QPI-1002」についてはDGFフェーズⅢにおいて医薬品候補物質としての有用性が示されたことからAKIの臨床試験に引き続き期待が持てる状況であると考えております。
 また、NAIONのフェーズⅢ臨床試験については経過観察期間を12ヶ月から6ヶ月間に短縮することがFDAに承認され、結果判明が早まる見込みである等、順調に進捗しております。

 クォーク社では、引き続きこれら2本のフェーズⅢ臨床試験を実施し、新規株式公開に向けて準備を進めてまいります。また、DGFのフェーズⅢ臨床試験についてはFDAとの協議が進展すれば新規株式公開後での実施を検討しております。

 なお、本件による当社の当期連結業績に与える影響は軽微でありますが、クォーク社の事業計画の見直し等により、今後開示すべき事項が発生した場合には速やかにお知らせいたします。

以上