2021年11月12日
SBIホールディングス株式会社
SBI地銀ホールディングス株式会社
当社及び当社の完全子会社であるSBI地銀ホールディングス株式会社(以下「公開買付者」といい、当社と併せて「当社ら」といいます。)は、公開買付者が実施している株式会社新生銀行(以下「対象者」といいます。)の普通株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関して、対象者が2021年11月25日に開催を予定している臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)の議案である「新株予約権の無償割当ての件」(以下「本件議案」といいます。)について、議決権行使助言会社であるGlass Lewis & Co., LLC (以下「グラスルイス」といいます。)が同年11月5日に、Institutional Shareholder Services Inc.(以下「ISS」といい、グラスルイスと併せて「ISSら」といいます。)が同年11月8日にそれぞれ「賛成」を推奨する旨のレポート(以下「レポート」といいます。)を発行されたことを確認しております。当該レポートを受け、本公開買付けに関して下記のとおり補足説明いたします。
当社らとしては、対象者が提示した本件議案に基づく買収防衛策の発動は、対象者の株主の皆様にとってのプレミアムを加えた価格での売却機会や本公開買付けに賛同いただける対象者の株主の皆様にとってのシナジーの価値享受の機会を奪うことになりかねないものであり、対象者の株主の皆様の利益を著しく損なうものであると受け止めざるを得ず、また、以下の理由からISSらの賛成推奨には十分な根拠がないものと考えており、当該議案に対して「賛成」を推奨する旨のレポートを発行されたことは大変遺憾に思います。
1. ISSらの賛成推奨の内容及び当社らの基本的な見解
ISSらは、次に掲げる点を根拠に、本件議案について賛成推奨をしていますが、当社らは、後記2.で詳しくご説明するとおり、ISSらの賛成推奨には十分な根拠がないものと考えております。
2. 当社らの見解
しかしながら、公開買付者が2021年9月10日付で提出した公開買付届出書(その後に提出した訂正届出書による訂正を含みます。以下「本公開買付届出書」といいます。)に記載のとおり、当社らが本公開買付けにおける買付予定数の上限を当社らが既に保有する持分と合わせて48%となる株式数にした理由は、対象者における早期の経営改善が急務である中、銀行持株会社認可を取得する場合には一定の時間が必要であるため、経営刷新を早急に図ることが難しくなると判断したためです。従って、本公開買付けにおける買付予定数の上限設定の撤廃は受け入れることはできません。当社らは、本公開買付けが成功した場合は、臨時株主総会において対象者の企業価値向上を可能とする新たな役員体制を構築し、当社グループと対象者グループの間の事業上の提携関係を構築・強化を含む具体的な企業価値向上策に関する検討を対象者と開始し、利益相反防止体制を前提に対象者に十分検討をいただいた上で、順次実行する予定です。当社らとしてはまずは対象者の企業価値向上に向けた努力に注力いたしますが、新たな役員体制の下で対象者の企業価値向上への道筋がついた段階で、当局の理解が得られれば、必要な銀行持株会社認可を取得した上で、一般株主の利益に十分配慮した形で、過半数以上の株式を取得することを検討する考えです。
また、対象者株式の過去の市場株価の推移を踏まえると、本公開買付価格は十分なプレミアム水準を確保しており、また、対象者が主張する対象者の「本源的価値」の具体的な水準やその根拠も明らかでない以上、当社らとしては本公開買付価格を引き上げるつもりはありません。なお、ISSは、本公開買付けの買付価格に付されたプレミアムについて、当社ら以外の対象者株主にとっての本公開買付価格に対する実質的なプレミアムに換算すると13%に留まる点を指摘しております。しかしながら、全ての株主が本公開買付けに応募する訳ではない点を踏まえると、このような実質的なプレミアムという考え方は合理的なものではなく、不適切であると考えております。
このような賛同要件を当社らが受け入れることはおよそ困難であることは対象者取締役会も認識していたはずであり、対象者が当該条件を本公開買付けに賛同するための要件としたのは、対象者に本公開買付けのより良い条件について交渉することを真に意図していたとは到底考えらません。従って、対象者取締役会が賛同要件を提示した真の意図は、自己保身目的で導入した買収防衛策の実態を隠すためであると考えられ、また、当社らが受け入れ難い条件をあえて提示して当社らにこれを拒ませる形にすることよって、本件議案に対する対象者株主の皆様の賛同の議決権行使を得るための材料にすることを意図したものであると考えております。なお、当社らとしましては、当該議案が本臨時株主総会において対象者の株主の皆様によって可決され、買収防衛策が発動された場合には、本公開買付けを撤回いたします。またその場合、当社らが現在保有している株式に関してはマーケットの状況を踏まえ、完全売却を含む様々な選択肢を検討してまいります。
当社らは、本公開買付けが成功した場合は、対象者の臨時株主総会において対象者の企業価値向上を可能とする新たな役員体制を構築し、当社グループと対象者グループの間の事業上の提携関係の構築・強化を含む具体的な企業価値向上策に関する検討を対象者と開始し、利益相反防止体制を前提に対象者に十分検討をいただいた上で、順次実行する予定です。当社らとしてはまずは対象者の企業価値向上に向けた努力に注力いたしますが、新たな役員体制の下で対象者の企業価値向上への道筋がついた段階で、当局の理解が得られれば、必要な銀行持株会社認可を取得した上で、一般株主の利益に十分配慮した形で、過半数以上の株式を取得することを検討する考えです。
ISSは本公開買付けが成立し、当社が対象者を連結子会社とした後の具体的な計画を提示できておらず、対象者の株主の皆様に不確実性をもたらすと指摘しております。また、当社らの事業計画は具体的ではなく、公的資金返済のための株価を実現する時間軸が不明瞭と指摘しております。グラスルイスについても、当社グループと対象者グループとの事業上の連携によって期待されるシナジーは定量化されておらず、対象者の株主の皆様が本公開買付けによるアップサイドを理解できないと指摘しております。また、当社らが批判する対象者の公的資金について、当社らも対象者同様、具体的な返済計画を示していないと指摘しております。
しかしながら、2021年11月12日付の「預金保険機構からの質問に対する回答について」において当社らが示したように、本公開買付けによる対象者株式の追加取得により、対象者が連結子会社として当社グループに入ることで、対象者グループと当社グループの経営資源の有機的結合が実現され、協業による相互の事業分野の補完、クロスセルによる顧客基盤の拡大と収益力の強化等を通じて、両グループの以下のようなシナジー効果を強力に働かせることが可能となると理解しております。
これらの取り組みの実現によって、当社グループにとっても直接的あるいは間接的にシナジーを享受することを想定しております。上記シナジー効果の定量化やシナジー発現の時間軸については、本公開買付け成立後に、対象者の経営陣のみならず、従業員の皆様とも時間をかけて議論していく必要がありますが、現時点においては当社グループに入ることで対象者に下記のような収益拡大及び企業価値向上が見込まれるものと初期的に考えております。なお、当然のことながら、こうした事業上の連携は、対象者において採用される利益相反防止措置を通じて、対象者の少数株主の利益に適うとの判断が対象者においてなされた場合に限り実施されます。
<業務粗利益>(単位: 億円)
<実質業務純益>(単位: 億円)
<親会社株主に帰属する当期純利益>(単位: 億円)
また、対象者及びその大株主である預金保険機構及び整理回収機構と協議できていない段階であるため具体的なコメントは差し控えさせていただきますが、上記で示した、対象者との事業上の連携によるシナジー効果を発揮することにより対象者の企業価値を高めることが公的資金の返済に向けた本質的なアプローチであると考えております。なお、ISSは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及び株式会社プルータス・コンサルティングの企業価値評価によると、当社らが提示した公開買付価格2,000円は非常に低いことについて指摘しておりますが、当該算定のレンジについては何ら公表されていないこと、また、当該企業価値の算定においては対象者の事業計画を基に算定を行っているものの、過去7期のほとんどの事業年度において対象者公表の計画値が未達であることを踏まえると、当該指摘は妥当ではないと考えております。
またISSは、当社らが本公開買付届出書に記載した3名の取締役候補について対象者のビジネスに関する経験が十分ではないと指摘しております。しかしながら、川島克哉氏は当社グループの金融サービス事業の中核を担う株式会社SBI証券や住信SBIネット銀行株式会社などで重要な役職を歴任し、経営全般に関する幅広い見識と豊富な経験を有し、五味廣文氏は金融行政に深く携わってきた経験、畑尾勝巳氏は旧株式会社東京銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)で要職を経験し、現在当社の子会社でロシアの商業銀行である SBI Bank の取締役会会長を務めるなど、いずれも対象者のビジネスに関する十分な経験を有しており、ISSの主張はあたらないと考えております。
本公開買付届出書に記載のとおり、守秘性の観点から、本公開買付けの公表・開始前には対象者の社外取締役候補者となりうる人物との十分な接触を行っていないため、現時点においては独立社外取締役の具体的候補者名を挙げることはできませんが、ガバナンス体制強化の観点から独立社外取締役が取締役総数の過半数となる体制とする考えです。また、独立社外取締役が当社らから真に独立した人物で構成されることを担保すべく、独立社外取締役が過半数を占める任意の指名報酬委員会において、取締役候補者を選定する体制を採用いたします。
なお、当社らは、本公開買付けが成功した場合は、臨時株主総会の招集を請求し、対象者の役員選任議案を諮る予定です。同株主総会において取締役候補者として推薦する業務執行取締役3名については本公開買付届出書記載のとおりですが、独立社外取締役の候補者については、当社らの独自の裁量で選定するのではなく、本公開買付け成立後速やかに、対象者と当社らとで独立社外取締役選定委員会を組成した上で透明かつ客観的なプロセスを経て選定することを対象者に提案する予定です。同委員会は、当社ら及び対象者の現任取締役から独立し、十分な識見を有し、公正・中立と客観的に評価される人物を法曹界から招き委員長とし、当社ら及び対象者がそれぞれ1名ずつ推薦する委員によって構成することを想定しております。かかる委員会において、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」及び経済産業省の「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を尊重しつつ独立社外取締役の候補者を選定することにより、当該臨時株主総会における独立社外取締役選定の公正性・中立性を担保することを考えております。
また、対象者の持続的成長と企業価値の最大化、また対象者従業員のモチベーション向上の観点から、対象者のステークホルダーの意向も踏まえながら、独立社外取締役の過半数を維持しつつ、当社らが既に提案しております業務執行取締役(社内取締役)に加え若干名の業務執行取締役の選任を行うことはありうるものと考えております。
一方で、ISSは、近年の対象者の業績を考慮した場合、経営陣又はその監督機関の変更が有益である可能性があると指摘しています。本公開買付届出書に記載のとおり、本公開買付けの目的の一つは対象者の役員の全部又は一部を変更し、最適な役員体制を実現することを可能にする議決権を確保することにあります。したがって、最適な役員体制を実現することを目的とした本公開買付けの成立を阻む対象者の買収防衛策の発動に係る本件議案について「賛成」を推奨することは、役員体制を一新する機会を株主の皆様から奪い、株主の皆様の共同の利益に資さないと考えております。
このように当社らとしては議決権行使助言会社各社によって発行されたレポートの論拠は、いずれも対象者の議案に「賛成」を推奨するには不十分なものと考えており、株主の皆様には本臨時株主総会において、対象者の現経営陣による企業価値向上策と当社らが提案する施策のいずれが対象者の全てのステークホルダーの皆様にとって望ましいものであるか、当社らの本公開買付けの提案を支持するかどうかを踏まえて、本件議案への賛否について適切なご判断を下していただきたいと考えております。
なお、上記(1)に記載のとおり、当社らとしましては、本件議案が本臨時株主総会において対象者の株主の皆様によって可決され、買収防衛策が発動された場合には、本公開買付けを撤回いたします。またその場合、当社らが現在保有している株式に関してはマーケットの状況を踏まえ、完全売却を含む様々な選択肢を検討してまいります。当社らは明確にシナジーを示し十分なプレミアムを含む公開買付価格を提示した戦略的投資家です。当社らにおいては、本買収防衛策はかかる公開買付者による資本市場における正当な取引を、経営者の保身目的で否定することを企図したものであると引き続き考えております。
以上