2013年4月18日
モーニングスター株式会社
中立的な第三者としての立場からEコマースや各種ウェブサイトの客観的な評価・比較を行うモーニングスター株式会社(以下、当社)は本日、「Gomez IRサイトランキング2013」をGomezのウェブサイト(http://www.gomez.co.jp/)上で発表しました。
この調査は毎年、国内の上場企業が提供する株主・投資家向け広報(IR)サイトの使いやすさや情報の充実度を評価することを目的として行っており、今回で7回目の発表となります。「ウェブサイトの使いやすさ」「財務・決算情報の充実度」「企業・経営情報の充実度」「情報開示の積極性・先進性」の4つの切り口から、主要ユーザーである投資家の視点に基づいて設定した290の調査項目により当社アナリストが評価を行い、総合的に優れたIRサイトのランキングを決定します。
順位 | 得点 | 会社名 | 前回※ |
1位 | 8.80 | ソフトバンク | 4位 |
1位 | 8.80 | カプコン | 2位 |
3位 | 8.43 | TDK | 1位 |
3位 | 8.43 | エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 2位 |
5位 | 8.33 | 東芝 | 8位 |
6位 | 8.25 | KDDI | 13位 |
7位 | 8.16 | ミネベア | 5位 |
8位 | 8.13 | 富士フイルムホールディングス | 6位 |
9位 | 8.08 | ベネッセホールディングス | 12位 |
10位 | 8.01 | コニカミノルタホールディングス | 36位 |
※11位以下のサイトについては、Gomezのウェブサイトをご覧ください。
順位 | 得点 | 会社名 | 前回※ |
1位 | 6.68 | フィールズ(JQ) | 1位 |
2位 | 6.38 | エムティーアイ(JQ) | 4位 |
3位 | 6.28 | ジュピターテレコム(JQ) | 2位 |
4位 | 6.16 | ハーモニック・ドライブ・システムズ(JQ) | 3位 |
5位 | 6.08 | ライフネット生命保険(マザーズ) | 新規 |
ランキング上位企業の評価理由
「IRサイトランキング2013」総合ランキングは、ソフトバンクとカプコンが第1位となりました。
移動体通信事業などの通信事業を展開するソフトバンクは、圧倒的な情報量、インターネットの特性をフル活用した先進的な取り組みにより、「財務・決算情報の充実度」「情報開示の積極性・先進性」のそれぞれの評価カテゴリで最高評価を獲得。多彩な切り口の業績解説とアニュアルレポート、スマートフォンやタブレット端末への積極的な対応、ソーシャルメディアの活用(とりわけリアルタイム説明会中継やTwitterによるLive Tweetなど)のような先進的な取り組みなど、情報量のみならず、さまざまなテクノロジーを駆使して、いつでもどこでもリアルタイムに情報にアクセスできる利用環境を整えています。
そして、多数のヒットシリーズを持つゲームメーカー、カプコンは、自社の特徴、市場環境、業績、そして経営方針に至る練り込まれたストーリー展開とビジュアル重視の見やすい構成、コア・コンピタンスに焦点を当てたコンテンツなど、他社とは一線を画したユニークなコンテンツ戦略を展開するオンリーワンのIRサイトです。オンラインアニュアルレポートによる詳細な業績や戦略の解説、ソーシャルメディアやスマートフォンへの取り組みなども早く、すべてのカテゴリで最高ランクの評価となっています。
総評とIRサイトのトレンド
■132社を2013年「IRサイト優秀企業」に選定
「IRサイトランキング2013」の調査対象サイトは3,502社となり、前回調査よりも33社の減少となりました。そして、総合得点6.00点以上に贈られる「IRサイト優秀企業」に132社が選定されました。前回調査よりも8社の減少です。各種コンテンツの深み、あるいはソーシャルメディアやモバイルへの対応に関する調査項目を強化したことが影響しました。なお、新規(あるいは復活)選定サイトは18社となっています。
■変わり始めたIRコミュニケーションのカタチ
インターネットIR先進企業の動向を上位200社の平均スコアから見てみると、2013年調査ではコンテンツ面の改善が目立ちました。「財務・決算情報」は6.40点(前回6.32)、「企業・経営情報」は6.30点(前回6.09)と改善しています。一年間の経営成果や各種取り組みをHTML形式によるアクセスしやすいフォーマットで提供する「オンラインアニュアルレポート」を採用するサイトが30社を超え(全ノミネート502サイト中)、全体的に業績や経営戦略上の取り組みと進捗をウェブ上で詳細に伝える企業が増加傾向にあることが主な要因です。また、役員報酬や社外取締役などのコーポレートガバナンス情報の深化も進んでいます。
その他、コーポレートサイトをスマートフォン最適化したサイトはノミネートサイト中100社を超え、前回比で約倍増。ソーシャルメディアへの対応は企業間で温度差があるものの、新着ニュースページに情報共有のためのソーシャルプラグインを埋め込むサイトは70社超となり、大幅に増加しています。従来型の紙・PDFを中心とした一方向的な情報開示から、インターネットテクノロジーの進化に対応したコミュニケーション型の情報提供へと変化の兆しが見えています。
■増える情報、消えゆく個性―同質化が進むIRサイト
他方、全体的に個性的なリニューアルが減り、IRサイトの同質化が進んできている点は気がかりです。優秀サイトを模倣、参考にしながらコンテンツやサイト構成を改善することが多いと思われますが、そこに自社独自の個性や特徴の追加や工夫が少なく、結果的に単なる均質サイト、コピーコンテンツに終わってしまうケースが多くなってきたためと推測されます。これでは企業のことを投資家に正しく理解してもらうというIRサイト最大の目的を達成することができず、体裁が整っているだけで何も伝わらないサイトで終わってしまう危険性があります。ユーザーを満足させるIRサイトを構築するためには、自社の特徴や強み・弱み、将来への経営方針などを踏まえたストーリー展開とコンテンツ、ウェブ戦略に合わせた適切な情報構造とデザインが求められます。企業理解を深化させるIRサイトを実現させるためのより一層の工夫が期待されます。
トピックス(1) IRサイト優秀企業2013
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■IRサイト優秀企業:銅賞(全86社)
Gomezのウェブサイトをご覧ください。
トピックス(2) 2012年調査から改善著しい企業
今回もIRサイトのリニューアルや、情報・機能の追加により、ウェブIRを強化する企業が数多くみられました。その中でも、とくに大きくスコアを伸ばした企業(2012年調査時よりスコアを大きく伸ばした企業、および、前回ランキング調査対象外から大きくスコアを伸ばして今回ノミネート入りした企業)を選出しました。
■前回調査からスコアを大きく伸ばした企業
| ■前回調査対象外から新規ノミネートした企業
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トピックス(3) 業種別ランキング第1位企業
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(※ランキングデータは、2013年3月26日までのものを反映)
(※整理ポスト企業、および2012年4月以降のIPO・再上場企業はノミネートから除外)
(※採用サイト、商用サイト、製品・ブランドサイト等は、評価範囲から除外)
ご参考(2):評価カテゴリの名称と評価内容
カテゴリ名称 | 評価内容 |
ウェブサイトの 使いやすさ | IR情報を提供するウェブサイト全体のユーザビリティを評価するカテゴリです。情報の見つけやすさや各コンテンツの見やすさ・使いやすさ、ウェブ・アクセシビリティ基準への対応状況等を総合的に評価します。 |
財務・決算情報 の充実度 | 財務や決算に関する情報量を評価するカテゴリです。ウェブサイト上に掲載されたディスクロージャ資料や説明会情報など、主に業績を中心とする定量的な情報の充実度を総合的に評価します。 |
企業・経営情報 の充実度 | 企業や経営に関する情報量を評価するカテゴリです。事業や経営戦略、コーポレートガバナンスと株主総会、CSRなど、企業に関する定性的な情報の充実度を総合的に評価します。 |
情報開示の 積極性・先進性 | 基本情報の一歩先を進んだ情報開示を評価するカテゴリです。個人投資家向け情報や事業トピックスなどのコンテンツ面、動画・音声配信、ソーシャルメディア、スマートフォン対応などの機能面の両面から評価します。 |
Gomezについて
Gomezは、インターネット上で提供されるサービスを中立的な立場から評価・分析し、
・インターネット利用者の利便性向上とEコマース市場などの拡大に貢献するための情報提供
・企業向けのアドバイス
を目的とし、消費者・企業双方に対して利益となる情報を掲載しています。
Gomezは、モーニングスター株式会社ゴメス・コンサルティング事業部により運営されています。