2021年10月6日
株式会社SBI証券

 株式会社SBI証券(代表取締役社長:髙村正人、以下「SBI証券」)は、セキュリティートークン(以下「STO」)の迅速な社会実装・普及を目指し、2019年11月に設立した「ST研究コンソーシアム」(略称SRC、主催:三菱UFJ信託銀行株式会社(取締役社長:長島巌、以下「三菱UFJ信託銀行」)会員企業数62社)において、第1期ワーキング・グループの報告書を纏めるとともに、「デジタル証券PTS*1に関する提言」を策定し、必要なルール整備に向けた発信を開始します。
 併せて、2021年10月より参加者を拡大して、第2期ワーキング・グループを開始いたしますので、お知らせいたします。
 *1 証券取引所を介さずデジタル証券を売買できる私設取引システム(Proprietary Trading System)

1. 第1期ワーキング・グループの検討結果及び「デジタル証券PTSに関する提言」の内容
 SRCでは、「セカンダリワーキング・グループ」「DLT*2拡張ワーキング・グループ」(第1期)を2021年1月に設置し、証券会社や技術提供企業及び法律事務所と9ヶ月間に亘り検討を進めてまいりました。
 デジタル証券全体の未解決課題である「セカンダリ市場の不在」と「効率化効果の未実現」の2点に対し、業界横断的なビジョンとロードマップを示し、2023年度より、「大阪デジタルエクスチェンジ」(以下「ODX」)と「Progmat*3」の連携によるセカンダリ市場確立と、「Progmat」のDLTオープン化による企業間連携の効率化実現を目標とします。
 また、提言では、競売買方式を採用するPTSを想定し、価格形成機能やシステミックリスクに応じた取引所該当性の考え方、必要な行為規制、及び改正・制定が必要なルールについて明文化しています。
*2 ブロックチェーンを含む分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology)の略称
*3 三菱UFJ信託銀行が開発・提供する、デジタル証券の発行・管理プラットフォーム

2.第2期ワーキング・グループ内容
 第2期では、2023年度時点のビジョンの実現に向けた、より広範な利害関係者との合意形成を目指し、ODX及び「Progmat」と証券会社等とのバリューチェーンや、「Progmat」を複数主体で運営する際のガバナンス設計等を詳細に定義したうえで、受容性を確認します。
 併せて、これらのビジョン実現による定量的な効果も算定し、様々な企業がデジタル証券業界へ参入する意思決定を容易にすることも目指します。

尚、上記報告書と提言の詳細は、下記のURLよりご覧ください。
セカンダリWG提言 :<https://www.tr.mufg.jp/ippan/pdf/secondary_teigen.pdf
セカンダリWG報告書 :<https://www.tr.mufg.jp/ippan/pdf/secondary_report.pdf
DLT拡張WG報告書 :<https://www.tr.mufg.jp/ippan/pdf/dlt_report.pdf

以上

<「セカンダリワーキング・グループ」報告書の要旨>
「セカンダリ市場の確立」に向けた検討項目の要旨は以下のとおりです。詳細な検討内容は、報告書及び提言を公表しておりますのでご覧ください。
項目 内容
デジタル証券市場のグランドデザインの想定 ・STEP1:ODXについて、競売買方式を視野に入れたPTSとしてデジタル証券の取扱いを開始し、取引マッチングをODXが担い、Progmatと連携した権利移転を実現する。
・STEP2:デジタル通貨基盤とProgmatとの連携により、RTGS決済(即時グロス決済)による決済リスク極小化を図る。
・STEP3:デジタル通貨側とProgmat側でそれぞれ自動貸出機能を実装し、RTGSにより必要となる日中流動性(決済に必要な残高)の負荷を軽減する。
・STEP4:決済リスク極小化と日中流動性負荷軽減を前提に、証券会社が間に介在しない、投資家同士の直接取引(P2P取引)も可能となる。
時間軸(目標) ・STEP1について、2022年度中に必要な法的手当・規制を整備する前提で、2023年度より「ODX」と「Progmat」の連携によるデジタル証券取扱いを実現する。
改正・制定すべきルールの想定(PTSの設立) ・市場立ち上げ期においては、PTSが取り扱うデジタル証券の取引高に関わらず、競売買方式を採用しても取引所には該当しないことの明確化を目指す。(監督指針又はパブリックコメント)
・相応のシステミックリスクが見込まれる段階に達した場合、一定の基準を設定しうることを併せて言及する。(同上)
改正・制定すべきルールの想定(PTSに求められる行為規制) ・競売買方式を採用するデジタル証券PTSにおいては、相場操縦規制及びインサイダー取引規制が適用される点の明確化を目指す。
(金融商品取引法及び同法施行令)
・値幅制限/サーキットブレーカーやマーケットメイカーの行動規範について、自主規制機関による自主規制及びデジタル証券PTSの規則を制定する。
<「DLT拡張ワーキング・グループ」報告書の要旨>
「DLTによる企業間連携効率化の実現」に向けた検討項目の要旨は以下のとおりです。詳細な検討内容は、報告書を公表しておりますのでご覧ください。
項目 内容
デジタル証券市場のシステムグランドデザインとエコシステム ・デジタル証券市場の各関係者が、DLTネットワークおよびAPIネットワークでどのように繋がり、データや機能をどう分担するのが最適か、どのようにエコシステムを形成すべきかを可視化。
時間軸(目標) ・2022年度前半までに、Progmatに対する参照系API及び更新系APIをオープン化し、証券会社等による自動処理を実現する。
・2022年度中に、ProgmatのDLTネットワークをオープン化し、証券会社又は他の金融機関等による直接管理及び照合不要化を実現する。
<第2期ワーキング・グループの概要>
項目 内容
ODXとProgmat、及び証券会社との連携方法の詳細定義 ・2023年度からの「①ODXによるデジタル証券取扱い開始」「②DLTネットワークオープン化開始」後における、約定・権利移転処理や法定通貨による資金決済方法の詳細定義。
DLTオープン化のガバナンス・セキュリティ・秘匿化の詳細定義 ・DLTネットワーク直接参加者間の役割分担と責任範囲の明定。
・DLTネットワーク直接参加者によるスマートコントラクトのデプロイ及び品質管理方法の明定。
・Progmatシステム全体としてのセキュリティ要件及び秘匿化要件等の参加者間合意。
証券バリューチェーン変革の定量効果算定 ・上記詳細定義を踏まえ、既存の証券バリューチェーン(約定・照合・清算・決済)と比較した定量的な改善効果を算出。
PTSに求められる行為規制 ・基本的には自主規制団体及びODXによる検討に移行するが、必要に応じて本ワーキング・グループにおいて側面支援を実施。
想定参加者 補足
デジタル証券PTS ・大阪デジタルエクスチェンジ株式会社
証券会社 ・現時点で既に確定しているのは以下の9社。(五十音順)
①大和証券株式会社
②東海東京証券株式会社
③三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
④モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社
⑤auカブコム証券株式会社
⑥株式会社SBI証券
⑦SMBC日興証券株式会社
⑧⑨その他証券会社2社
・そのほか、参加を希望する第一種金融商品取引業者の皆さま。
新たにデジタル証券専業の証券会社を設立するアセットマネジメント会社等 ・現時点で既に確定しているのは以下の2社。(五十音順)
①ケネディクス株式会社
②株式会社LayerX
・そのほか、参加を希望する投資運用業者の皆さま。
DLT基盤又は証券システム基盤を担うソフトウェア会社 ・以下の4社。(五十音順)
①株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
②株式会社大和総研
③株式会社野村総合研究所
④SBI R3 Japan株式会社
法律事務所 ・アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
オブザーバー ・経済産業省
・一般社団法人日本STO協会

以上