企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)は、顧客、株主や従業員に加え、一般消費者、取引先、あるいは広く地域社会などによって構成されています。SBIグループは、企業の社会性を強く認識し、社会の維持・発展に貢献し、「顧客中心主義」の基本観に基づき、徹底的に顧客志向型の事業を行うとともに、事業を営んでいく過程で社会的信用を獲得していくことが不可欠であると考えています。意思決定の透明性・公正性を確保しつつ、経営環境の変化にも迅速に対応できる組織体制を構築し、企業価値向上に向け適切なコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
コーポレート・ガバナンスの取り組み
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
ガバナンス体制の概要(2021年6月29日)
SBIホールディングスは、組織形態として監査役会設置会社を選択しており、取締役会および監査役会を設置しています。SBIホールディングスの取締役会は独立社外取締役7名を含む取締役15名(2021年6月29日現在)で構成され、経営の妥当性の監督強化を行っています。取締役会は原則として月1回開催し、重要事項の決定、業務執行状況の監督を行っています。業務執行に関しては、社長の他副社長、専務等を含む業務執行取締役に加え、取締役に並ぶ専門性や識見を有する執行役員11名があたっており、業務執行取締役・執行役員並びに取締役会の機能・責任を明確にするとともに、急激な経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を整えています。
一方、監査役は取締役の職務執行を監査することなどにより、社会的信頼に応える良質なコーポレート・ガバナンス体制を確立する責務を負っています。監査役は独立社外取締役や会計監査人等との連携を確保し、より実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制の実現を図っています。
このような現状の体制によって、株主の権利・平等性の確保、株主以外のステークホルダーとの適切な協働、適切な情報開示と透明性の確保、取締役会等の責務の遂行、株主との対話といったコーポレート・ガバナンスの基本原則を遵守できているものと考えています。
形態 | 監査役会設置会社 |
取締役の人数 | 15名 |
うち、独立社外取締役の人数 |
7名(独立社外取締役比率 46.6%) |
取締役の任期 | 1年 |
監査役の人数 | 4名 |
うち、社外監査役の人数 |
2名 |
監査役会の回数 | 15回 |
独立役員として届出を 行っている役員の人数 |
7名 |
執行役員の人数 | 11名 |
独立社外取締役および社外監査役
SBIホールディングスの独立社外取締役は7名、社外監査役は2名です。
独立社外取締役および社外監査役は、一般株主と利益相反が生じるおそれのない、客観的・中立的立場から、それぞれの専門知識および幅広く高度な経営に対する経験・見識等を活かした社外的観点からの監督または監査、および助言・提言等を実施しており、取締役会の意思決定および業務執行の妥当性・適正性を確保する機能・役割を担っています。
独立社外取締役の選任理由および取締役会への出席状況
氏名 | 選任理由 | 出席回数 (出席率) |
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独立社外取締役 | 佐藤 輝英 | サイバーキャッシュ(株)(現ベリトランス(株))の日本法人立上げに参画するなど、特にアジアにおけるインターネット事業に関して豊富な経験と深い知見を有しているためです。 | 12回 (100%) |
竹中 平蔵 | 経済財政政策担当大臣、金融担当大臣等を歴任し、また国内の大学で教鞭をとる一方、民間企業において社外取締役として活躍するなど豊富な経験を有しているためです。 | 12回 (100%) |
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鈴木 康弘 | (株)セブン&アイ・ネットメディア代表取締役社長、(株)セブン&アイ・ホールディングス取締役執行役員CIO等を歴任し、インターネット事業をはじめ幅広い分野での豊富な経験を有しているためです。 | 12回 (100%) |
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伊藤 博※1 | 保険およびリスクマネジメント関連サービスを提供する世界的リーディングカンパニーであるマーシュジャパン(株)代表取締役などの重要な役職を歴任し、SBIグループとして注力していく保険分野における専門的な知識を有しているためです。 | 10回 (100%) |
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竹内 香苗※1 | 「女性の視点」を取締役会においても有し、強化することが当社の大きな課題であること、またメディアを中心に過去および現在幅広く活躍しており、多くの個人株主を含む当社のステークホルダーの皆さまのご意見を取締役会に反映するという点で適任であるためです。 | 10回 (100%) |
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福田 淳一※2 | 財務事務次官等を歴任し、金融分野全般における豊富な経験を有しており、SBIグループの金融事業全般、特に地域金融機関との連携の拡大、地方創生といった分野において、建設的な意見が期待できるためです。 | - | |
末松 広行※2 | 農林水産事務次官等を歴任し、農林水産業・食品産業全般における豊富な経験を有しており、SBIグループにおける、商品先物を扱う(株)堂島取引所の経営への参画、ブロックチェーンのサプライチェーンマネジメントへの活用といった分野において、建設的な意見が期待できるためです。 | - |
※2 2021年6月29日開催の定時株主総会において選任され就任いたしました。
取締役会の実効性の向上
1. 分析・評価の方法
2021年2月から3月にかけて全ての取締役および監査役を対象として、取締役会の実効性に関するセルフアセスメントを実施しました。このセルフアセスメントの結果とともに、2021年3月開催の取締役会における議論も踏まえ、取締役会の実効性に関する分析・評価を行いました。
実効性評価における評価項目
・取締役会等の機関設計・構成
・取締役会の運営
・取締役会の議題・審議・意思決定
・取締役会による監督体制
・株主その他ステークホルダーとの関係
・その他
・自己評価
2. 分析・評価結果の概要等
SBIホールディングスの取締役会は、業務執行機関および監督機関として有効に機能しており、実効性が十分に確保されていると評価されました。
一方で、取締役会の実効性の更なる向上に向けては、SBIホールディングスの事業拡大はスピードが速くかつ多角的であるため、コンプライアンスおよびリスク管理体制をグループ横断的に一層整備するべきであるという意見も得られました。加えてESG・SDGsに、より配慮した経営を行っていく必要性も挙げられました。
SBIホールディングスの取締役会は今後も、上記の実効性に関する分析・評価結果を踏まえ、取締役会の実効性をより一層高めていくことに努め、SBIグループの持続的な企業価値向上に資するよう取り組んでいきます。
経営諮問委員会
SBIホールディングスは、経営の妥当性の監督強化と経営の透明性向上を更に図るべく、取締役会の下に設置する独立した諮問機関として、委員の3分の2以上が独立社外取締役で構成される「経営諮問委員会」を設置しています。これによって、客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図るとともに、取締役会において独立社外取締役が適切かつ積極的に議論を行う環境を整えています。
同委員会は、取締役・監査役候補者の指名、経営陣幹部(社長・副社長・専務・常務等の役付取締役)の選解任、取締役の報酬のほか、次世代の経営陣幹部の育成等に係る取締役会の機能や審議プロセスに適切に関与していくことで、その決定についての客観性や透明性を高め、SBIホールディングスのコーポレート・ガバナンス体制の一層の充実に寄与しています。
経営諮問委員長 | 竹中 平蔵※ |
経営諮問委員 | 佐藤 輝英※ |
経営諮問委員 | 五味 廣文 |
経営諮問委員 | 浅枝 芳隆 |
経営諮問委員 | 鈴木 康弘※ |
経営諮問委員 | 伊藤 博※ |
経営諮問委員 | 竹内 香苗※ |
経営諮問委員 | 福田 淳一※ |
経営諮問委員 | 末松 広行※ |
役員報酬(2021年3月期)
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる 役員の員数 (人) |
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基本報酬 | 賞与 | 譲渡制限付 株式報酬 |
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取締役 (独立社外取締役を除く。) |
584 | 191 | 393 | - | 8 |
監査役 (社外監査役を除く。) |
13 | 13 | - | - | 1 |
社外役員 | 83 | 75 | 8 | - | 8 |
親子上場と少数株主保護の考え方
SBIグループは事業領域が多岐にわたることから、一部の投資家から全体像の理解が難しいといった声が寄せられています。その声への解として、子会社の新規株式公開を推進し、各事業体の事業価値を明らかにすることで、SBIグループ全体の企業価値の顕在化を図っています。グループ各社は、株式公開によって資本調達力を高めるとともに、財務面での強化が可能となり、自立できるものと考えています。一方で少数株主の保護に向けては、SBIグループではグループ各社の経営の独立性を尊重し、アームズ・レングス・ルールに則って公正で合理的な取引を確保しています。
プライム市場に公開しているモーニングスターでは、SBIグループと取引を行う場合、客観的かつ公正な取引を行うことを基本方針としており、他の取引先と同様の基本条件、公正な市場価格によって行い、適正な取引を確保することを取締役会で決議しています。また、内部監査・監査役監査においてもSBIグループとの取引条件が一般的な取引条件と同様に決定しているかを監査重点項目としています。
また、グロース市場に公開しているSBIインシュアランスグループでは、SBIグループとの取引は、一般の取引条件と同様の適切な条件とすることを基本方針としており、SBIグループとの取引が見込まれる際には、事前に取締役会等において取引条件の妥当性について十分に審議した上で意思決定することで、支配株主を除く株主の利益の保護に努めています。