2009年7月29日
SBIホールディングス株式会社

 当社グループの運営ファンドの出資先である米国の開発段階医薬品会社、クォーク・ファーマシューティカルズ社(以下、「クォーク社」)が、2009年7月27日(現地時間)に自社開発のsiRNA医薬品候補『QPI-1007』の実験結果についてプレスリリースを発表しておりますので、内容について下記のとおりお知らせいたします。

 

 カナダのモントリオール大学病理学・細胞生物学部のアドリアナ・ディポロ教授は、緑内障によって眼圧が上昇したラットモデルを用いた実験において『QPI-1007』が進行性の網膜神経節細胞の損傷を抑制する効果があることを示すデータを得たと発表しました。また、ディポロ教授が行った実験結果は、『QPI-1007』が緑内障患者を治療できる可能性を持っているとを示唆しています。『QPI-1007』はIND(治験新薬)方式の臨床研究で、眼病用の神経保護剤として評価が行われております。

 『QPI-1007』は、クォーク社が独自の知的財産権に基づいてバイオスプリング社と共同で開発した初のsiRNA医薬品候補です。クォーク社は『QPI-1007』の知的財産権を独占していることから、このsiRNAの構造について他社の知的財産権の制限を受けることなく、自由に研究開発を発展させることが出来ます。これまでに発表された研究成果では、視神経挫滅および軸索切断により生じた網膜神経節細胞死の2つのモデルにおいて『QPI-1007』に確固とした神経保護効果があることが示されています。これらの研究では、『QPI-1007』は視神経損傷の直後に投与されました。最近の眼圧上昇に関する研究実験では、『QPI-1007』は眼圧上昇から2週間後、網膜神経節細胞の25%以上が損傷した段階で投与されました。その場合、比較対象となった眼球では網膜神経節細胞の損傷が進行しましたが、『QPI-1007』の投与を受けた眼球では網膜神経節細胞の損傷進行が完全に停止しました。

 クォーク社のダニエル・ズール最高経営責任者は今回の発表について「当社の開発した『QPI-1007』に新たな適用可能性が見出されたことを喜ばしく思います。また当社は、独自の知的財産権に基づいてこのようなsiRNA医薬品候補を発見するだけでなく、臨床開発段階にまで推し進める能力があることが実証出来たと確信しています。今後、当社では非動脈炎性前部虚血性視神経症の臨床研究に『QPI-1007』を治験新薬として申請する予定を控えており、当社のRNAi医薬品分野における主導的な地位は今後も続くと思われます。クォーク社は臨床段階のsiRNA医薬品候補として最大規模のポートフォリオを保有していますが、それらから派生する医薬品候補は全てオフターゲット効果(目標以外の遺伝子を抑制してしまう効果)の可能性を低減しつつ、適正な効果と安定性が備わっていることを確認しています。」とのコメントを発表しました。

 ディポロ教授は「緑内障患者の場合、特有の視野の変化や視野欠損は網膜神経節細胞死によって引き起こされます。既存の療法として眼圧の上昇を抑制するという方法は知られていますが、視神経自体を選択的に保護する療法はありません。今回『QPI-1007』が網膜神経節細胞に対して神経保護効果がある可能性を示した実験データは、神経変性疾患治療の領域に大きな前進をもたらす可能性を示唆しており、非常に勇気付けられました。」と述べました。

 

 

以上