2010年1月8日
SBIホールディングス株式会社

 当社グループの運営ファンドの出資先である米国の開発段階医薬品会社、クォーク・ファーマシューティカルズ社(以下、「クォーク社」)は2010年1月5日(現地時間)、同社が実施中のsiRNA化合物『QPI-1002』の臨床試験に関する進捗状況を発表しておりますので、内容について下記の通りお知らせいたします。

 

 カリフォルニア州・フレモントのクォーク社は、大規模な心臓血管手術後の急性腎臓障害(AKI)と臓器移植後の臓器機能障害(DGF)の予防に関して、人間に対する全身投与での臨床治験を許可された最初のsiRNA化合物である『QPI-1002』の臨床試験を更に進めることを発表しました。

 siRNA化合物を用いた臨床開発分野の有力企業であるクォーク社は、独立データ安全性モニタリング委員会(DSMB)から『QPI-1002(旧称15NP)』について、臨床試験を次のフェーズへ進めるよう推奨を受けました。現在、クォーク社は『QPI-1002』を用いた上記2種の腎臓疾病に関する臨床試験を進めています。DSMBは、クォーク社による臨床試験で被験者の体重1kg 当たり10mg まで投薬した場合の安全性評価について調査を行いました。『QPI-1002』は、ストレス反応の伝達において主要な役割を担う『p53遺伝子』を標的としており、細胞の損傷時に『p53遺伝子』を一時的に抑制することで脆弱な細胞が自発的に細胞死することを防ぎ、自然修復のメカニズムによる細胞組織の統合と機能を温存することが可能となります。

 DSMBとはクォーク社から独立した専門家からなる委員会で、『QPI-1002』に関する用量漸増試験(投与量を徐々に増やして効果を測定する試験)の安全性について、クォーク社から委託を受けて調査と評価の実施を行っています。この調査・評価の対象には臓器移植後の臓器機能障害(DGF)に関するフェーズ1・フェーズ2の臨床試験と、大規模な心臓血管手術後の急性腎臓障害(AKI)に関するフェーズ1の臨床試験が含まれています。尚、DSMBの主要責務は、試験データを精査し、安全性の観点から臨床試験の継続・修正・中止の推奨・勧告を行うことにあります。

 クォーク社のダニエル・ズール代表取締役兼最高経営責任者は「この度、当社の臨床試験に関してDSMBから次の段階へ進めるよう推奨されたことは、siRNA化合物の臨床研究における画期的な出来事です。DSMBによる推奨により、当社は大規模な心臓血管手術後の急性腎臓障害(AKI)と臓器移植後の臓器機能障害(DGF)に関して、『QPI-1002』による全身投与での臨床治験を前進させることができます。当社はsiRNA化合物を用いた人間に対する臨床試験について、既に他社に例を見ない量の実証データを保有しています。当社はこれらの資源を用いて、医療提供者向けに医学的有用性が高く、且つ斬新なsiRNA化合物の開発事業を推進します。当社の見通しでは、2010 年末までに5 つの異なる病理に関する臨床治験に向けた3 つの医薬化合物を発表する予定となっています。こうした取り組みを通じて当社は、RNA干渉というノーベル賞(生理学・医学・化学)の対象にもなり得る最先端医療の領域で主導的な地位を確保することになるでしょう。」とのコメントを発表しました。

 『2010 年第1 四半期におけるクォーク社の計画について』
クォーク社は2010 年第1 四半期に眼病の神経保護剤として新たなsiRNA化合物『QPI-1007』について、フェーズ1・フェーズ2の臨床試験を開始する予定となっています。『QPI-1007』は、クォーク社が独自の知的財産権に基づいてバイオスプリング社と共同で開発したsiRNA医薬品候補です。『QPI-1007』の開発チームは、RNA干渉におけるオフターゲット効果(標的以外の遺伝子の発現も抑制してしまうこと)や、免疫賦活(本来備わっている免疫を活性化して抵抗力を増強すること)といった潜在的な可能性についても考慮しました。クォーク社は『QPI-1007』の知的財産権を独占していることから、このsiRNAの構造について他社の知的財産権の制限を受けることなく、自由に研究開発を推進することが出来ます。クォーク社は、引き続き斬新な構造のsiRNA化合物の開発に取り組み、自社の研究開発施設を活用して新たなRNA干渉を用いた医薬品候補の開発を推進する方針です。

 

以上