2010年5月27日
SBIホールディングス株式会社
SBIアラプロモ株式会社
ノーベルファーマ株式会社

 SBIホールディングス株式会社の子会社でALA(5-アミノレブリン酸)を利用した化粧品、健康食品、医薬品の研究・開発等を行っているSBIアラプロモ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員CEO:北尾 吉孝、以下「SBIアラプロモ」)とノーベルファーマ株式会社(本社:東京都、社長:塩村仁、以下「ノーベルファーマ」)は、脳腫瘍の一種である悪性神経膠腫の摘出手術中に使用する体内診断薬(有効成分:5-アミノレブリン酸塩酸塩、以下「本ALA診断薬」)の共同事業化について基本合意し、ノーベルファーマを通じて第III相臨床試験を開始致します。

 本ALA診断薬は、悪性神経膠腫の摘出手術中における腫瘍組織の可視化を目的とした光線力学的診断(Photodynamic Diagnosis : PDD)のための経口体内診断薬で、SBIアラプロモの事業パートナーである独medac社がすでに欧州医薬品審査庁(EMEA)の承認を受け、ドイツ、イギリス等欧州10ヶ国で発売されています。このたび、SBIアラプロモとmedac社との契約に基づき、SBIアラプロモとノーベルファーマの共同事業として本ALA診断薬の臨床試験を開始するものです。なお、本ALA診断薬は腫瘍摘出手術における経口投与による診断薬としては日本で初めての製剤です。

 悪性神経膠腫は最も悪性度の高い脳腫瘍に属し、現在の標準治療は顕微鏡下手術による腫瘍部位の切除となります。しかし、悪性神経膠腫は正常脳に浸潤して増殖する特徴を有するため、正常組織との境界が不明瞭で、腫瘍の完全切除は困難であるとされております。このたび開始する治験では、この体内診断薬を腫瘍摘出術の数時間前に経口投与し、術中に患部に特殊な光を当てることで腫瘍部位を赤く光らせ、正常組織との識別を容易にすることの有効性と安全性を検証することを目的としております。

 今回の治験において、経口投与による悪性神経膠腫体内診断薬としての有効性と安全性が検証されれば、日本における腫瘍摘出率の向上と予後の改善に寄与するとともに、術中及び術後の患者の身体的負担を軽減することが期待できます。

 SBIアラプロモ及びノーベルファーマは、悪性神経膠腫に苦しむ人々に新たな治療オプションとして、本ALA診断薬を一日も早く医療現場に提供できるよう一層努力してまいります。

以上

参考資料

□ SBIアラプロモ社について
SBIアラプロモ株式会社は、2008年にSBIホールディングス株式会社とコスモ石油株式会社のジョイントベンチャーとして設立され、ALA(5-アミノレブリン酸)を利用した製品の研究・開発・販売を行っております。医薬品、健康食品及び化粧品分野において、ALAを利用した製品を提供することを使命とし、ALAを活用した革新的な製品を産み出すことを通じて人々の生活をより豊かにすることを目指しております。SBIアラプロモ株式会社の詳細情報は、同社のウェブサイトhttp://www.sbi-alapromo.co.jp/をご覧ください。
 

□ ノーベルファーマ社について
 ノーベルファーマ株式会社は、アンメットニーズの高い医薬品を開発し、その薬剤を必要とする患者のお手もとにお届けすることを使命として、2003年に設立されました。オーファンドラッグ、効能・効果外で使用されている医薬品、小児用医薬品などアンメットニーズの高い医薬品の研究開発に鋭意取り組み、必要とされる現場にお届けすることにより医療へ貢献しています。ノーベルファーマ株式会社の詳細情報は、同社のウェブサイトhttp://www.nobelpharma.co.jp/をご覧ください。

□ ALA(5-アミノレブリン酸)について
 赤ワインやかいわれ大根等の食品にも含まれる「ALA」は、36億年前より存在する天然のアミノ酸の一種である。植物では光合成に不可欠な葉緑素、動物ではビタミンB12、血液成分、細胞内エネルギー産生などに関わることが知られており、種を問わず、極めて重要かつ不可欠な成分として知られている。その応用範囲は脳腫瘍術中診断、がんスクリーニング等の医療分野から、貧血予防の健康食品分野、にきび・肌荒れ等の化粧品分野など多岐に渡る。

□ 神経膠腫(しんけいこうしゅ)について
神経膠腫は脳内に存在するグリア細胞の腫瘍で、その多くは予後不良な悪性の腫瘍です。神経膠腫は原発性脳腫瘍の約30%を占め、腫瘍を構成する細胞の形態から何種類かに分類されます。そのうち最も多いのが星細胞腫で、これはその悪性度によって大きく4段階(グレードI~IV)に分けられます。特にグレードIVは膠芽腫と呼ばれ、最も悪性度が高く、極めて予後不良の腫瘍です。神経膠腫の標準的治療として、通常、外科的手術(開頭手術)が行なわれますが、手術で腫瘍を全摘出することは困難であり、多くの場合、術後に放射線治療や化学療法が行われます。