2015年11月30日
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
FXクリアリング信託株式会社

SBIリクイディティ・マーケット株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:重光 達雄、以下「当社」)の子会社であるFXクリアリング信託株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:星 典彰、以下「FXクリアリング信託」)は、2015年12月10日(予定)付にて、同じく当社の子会社であるSBI FXトレード株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:尾崎 文紀、以下「SBI FXトレード」)との間で信託契約を締結し、外国為替証拠金取引(以下、「FX取引」)に係る新たな信託スキームの提供を開始することを決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

FXクリアリング信託は、2015年6月1日付のプレスリリースでご案内のとおり、FX取引に係る取引参加者の資産保全を目的とした管理型信託業の登録を受けた管理型信託会社です。同社では登録完了(2015年5月25日付)以降、FX取引に係る法制度における現行の信託保全制度(※1)を基としながら、これを補完・補強した、より利便性の高い新たな信託サービスを提供すべく、年内を目途に開業の準備を進めておりました。
そしてこのたび、SBI FXトレードが2015年12月10日(予定)から新商品サービス「レバレッジ付き定期外貨取引」(以下「定期外貨取引」、※2)を提供するにあたり、SBI FXトレードとの間で顧客区分管理信託契約を締結することとなったため、同日付より信託業務を開始することとなりました。

※1.FX業者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第143条第1項第1号の規定に基づき、顧客から預託を受けたFX取引に係る証拠金について、信託会社又は信託業務を営む金融機関への金銭信託により、自己の固有財産と区分して管理することが義務付けられています。
※2.定期外貨取引の内容につきましては、SBI FXトレードが本日付でプレスリリースしております『新商品サービス「レバレッジ付き定期外貨取引」の提供開始に関するお知らせ』をご参照ください。

1.契約締結に至った経緯
SBI FXトレードの新商品サービスである定期外貨取引は、定期的に継続して外貨を購入できることを大きな特長としています。この商品特性は、FX業者においては顧客ポジションが長期に渡って際限なく積み上がり続けることを意味することから、サービス実現にあたっては顧客ポジションのカバー取引先となる金融機関等(カウンターパーティ、以下「CP」)との取引ラインの維持、増強コストと併せて検討する必要がありました。特に近年ではこのCPとの取引ラインに係るコストは増加傾向にあり、SBI FXトレードが当該サービスを導入するためには、当該取引拡大に付随する将来的なコスト及びリスクの低減をいかに図るかが課題でありました。
この課題の克服を実現させたのがFXクリアリング信託の提供する新たな信託スキームです。詳細は「2.FXクリアリング信託の信託スキーム導入効果」にて後述しますが、この信託スキームの導入により定期外貨取引のリリースが実現できる運びとなったことから、SBI FXトレードはFXクリアリング信託との間で顧客区分管理信託契約の締結を行うこととなった次第です。

2.FXクリアリング信託による新たな信託スキーム導入効果
世界に冠たる金融商品にまで成長を遂げている日本のFX取引市場ですが、昨今の金融情勢の変化の影響もあり、更なる市場拡大のためには克服すべき課題も多く抱えているのが現状です。例えば、現行のFX取引に係る信託保全規制では、顧客資産がFX業者に預け入れられてから実際に信託保全されるまでにタイムラグがあることから、完全に保全されているとは言い切れない面があります。また、前述のとおり、FX業者にとっては、顧客取引が増え続けると対CPとのカバー取引の関係において資金負担が増加する傾向にあることから、取引拡大に慎重にならざるを得ません。
FXクリアリング信託は、日本のFX取引の特長の一つである信託保全制度をより活用し、当該信託制度の枠組みの中ですべてのFX取引参加者の資産保全を可能とする独自の信託スキームを構築いたしました。この新たな信託スキームは、以下に掲げる特長をもって、FX市場全体が抱える課題を払しょくする革新的な機能をすべての取引参加者に提供いたします。

[1] 信託保全の完全性の補完
FXクリアリング信託とFX業者との間で、信託財産の預託・償還について、独自のスキームを取り入れることで、FX業者に預託された顧客資産が信託保全されるまでのタイムラグの短縮を図ります。さらに将来的には、顧客資産のリアルタイムでの信託保全の実現を計画しております。
[2] 信託保全内容の透明化
現行、FX取引の信託保全に係る区分管理信託必要額はあくまでFX業者自身により日々算出し信託する流れとなっています。このため、仮にFX業者による過失または故意により本来の信託必要額と実際の信託額とに齟齬があったとしても、これを常に外部的にチェックできる体制とはなっていませんでした。
FXクリアリング信託では、FX業者が算出した区分管理信託必要額の妥当性をチェックし、かつ、実際にFXクリアリング信託が受託した信託財産の残高と照合できる機能を有することから、FX業者の信託保全状況の適正性を常時検証することができます。
[3] 取引参加者間の決済履行の担保
各取引参加者間で受け払いする為替差損益金(為替取引の決済代金)に相当する金額について、FXクリアリング信託が引受けている各取引参加者の信託残高を増減させることにより、決済の履行を担保します。これにより昨今増加傾向にあるFX業者におけるCPとの決済に係る資金繰り負担、コストを軽減させる効果が期待されます。
また、当該効果により、上述のSBI FXトレードの新商品サービスである定期外貨取引をはじめとした、投資家の利便性向上に資する様々な新商品サービスが生まれる環境が拡げられるものと考えております。
[4] 市場流動性の一層の向上
上記[3]により、FX業者がカバー取引のフローを拡大できる環境を創出することで、FX市場全体の取引流動性を高める効果が期待できます。
【信託スキームのイメージ図】信託スキームのイメージ図

このFXクリアリング信託の提供する信託スキームを、新たなFXの業界スタンダードを成り立たせる礎とし、個人投資家の方々がより安心・安全にFX取引に参加できる環境を築けるよう努めてまいります。

(参考)FXクリアリング信託の概要
(1) 商号 FXクリアリング信託株式会社 (英文:FX Clearing Trust Co., Ltd.)
(2) 登録番号 関東財務局長(信)第12号
(3) 所在地 東京都港区六本木一丁目6番1号
(4) 代表者 代表取締役社長 星 典彰
(5) 設立日 2014年7月14日
(6) 事業内容 外国為替証拠金取引に係る取引参加者の資産保全を目的とした管理型信託業
(7) URL http://www.fxclt.co.jp/

以上