2021年11月12日
SBIホールディングス株式会社
SBI地銀ホールディングス株式会社

 SBIホールディングス株式会社(以下「SBIHD」といいます。)及びSBIHDの完全子会社であるSBI地銀ホールディングス株式会社(以下「公開買付者」といい、SBIHDと併せて「SBIHDら」といいます。)は、公開買付者が実施している株式会社新生銀行(以下「新生銀行」といいます。)の普通株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関して、2021年11月5日に預金保険機構が公表した、「ご質問書」における3つの質問について以下のとおり回答いたします。なお、以下の回答に記載の用語につきましては、原則として公開買付者が2021年9月10日付で提出した公開買付届出書(その後に提出した訂正届出書による訂正を含みます。以下「本公開買付届出書」といいます。)の定義するところによります。

 SBIHDグループは、経営理念の一つとして「金融イノベーター」であることを掲げ、従来の金融のあり方に変革を与え、インターネットの持つ爆発的な価格破壊力を利用し、より顧客便益性を高める金融サービスを提供することを目指しております。下記にてご説明申し上げますとおり、新生銀行においては、強みのあるプロダクト・サービスを複数抱えているものの、十分な収益化が実現できておらず、この点が市場での評価にも表れているものと考えております。本公開買付けを通じてSBIHDが新生銀行を連結子会社化することで、新生銀行がSBIHDグループの銀行事業を率いる中核会社となり、SBIHDグループが有するインターネットを活用したノウハウや経験を十分活用いただき、事業シナジーを発揮して伝統的な銀行モデルから脱却し、ひいては約3,500億円の公的資金返済につなげていただくよう新生銀行の企業価値向上を図ることが本公開買付けの最大の目的です。あわせて、多様な事業を営むSBIHDグループ各社と連携しながらシナジー効果を発揮し、SBIHDグループ自体の企業価値向上にも資することが可能であると考えております。なお、これまでもご説明致しておりますように、新生銀行の独立性及び少数株主の方との利益相反性に関しましては、遺漏無きを期す前提でございます。

<預金保険機構からの質問>
1. 2021年9月28日付の対質問回答報告書別紙37ページ<公開買付者の回答>④において、「 SBIHDグループの資本業務提携先を含めた提携先の地域金融機関との連携やその他の地域金融機関との連携については、(中略)地域金融機関との協業を進めることにより、より深く各地域の事業支援や地域経済の活性化にご活躍いただけるものと確信しております。」とあるが、SBIHDらの資本業務提携先の地域金融機関と新生銀行の協業により両者にどのようなシナジー効果があるのか、特に新生銀行の企業価値向上の観点からどのような貢献が見込まれるのかお示しいただきたい。

<公開買付者の回答>
 SBIHDグループと新生銀行は事業ポートフォリオの補完性が高く、ノンバンク機能に強みを有する新生銀行が商品及びサービスの提供者としてSBIHDグループが各地域金融機関と構成するプラットフォーム・ネットワークに加わり、ノンバンクサービスのニーズはあるが自行にその機能を有していない地域金融機関と協業することで、主として法人業務を中心に、双方に新たな収益獲得の機会をもたらし、新生銀行の企業価値向上に資すると考えています。新生銀行においても約9割の地方銀行との取引実績があるとのことではありますが、社会的使命の一つとして地方創生に取り組み、地方創生を推進する地方創生パートナーズをリードするSBIHDグループは、資本業務提携先に限らず幅広い地域金融機関とのネットワークを有する唯一無二の存在であり、新生銀行の企業価値向上の観点からは、かかるSBIHDグループの地域金融機関へのネットワークを活用してビジネスにつなげることで、新生銀行の収益機会を拡大することにつながることになると考えております。
 以下に、いくつかの分野で具体的に例示します。
ストラクチャードファイナンスの強化
 本公開買付届出書及び公開買付者が2021年9月28日付で提出した対質問回答報告書別紙に記載のとおり、SBIHDらは、新生銀行においては、不動産、太陽光、バイオマス、海底送電線、風力発電、上場インフラ法人、地熱発電、船舶、ヘルスケアといった多様な資産を対象とするストラクチャードファイナンスを展開できる強みを有しているものと理解しており、また、新生銀行は、中期経営計画においては、単独でのストラクチャードファイナンスの組成のみならず、地域金融機関などと共同してシニアローンを提供するなど、地域金融機関とのパートナーシップを注力分野の一つとしています。一方で、当該セグメント利益は2018年度の120億円から2020年度は45億円と大きく減少している状況です。新生銀行によると、プロジェクトファイナンスや不動産ノンリコースファイナンスは、現在は大手の地方銀行が主たる顧客であるとのことですが、新生銀行のノウハウ・実績を踏まえると、顧客属性を大手の地方銀行に限定することなく、顧客自身のリスク判断と丁寧な説明を前提としたうえで、更に幅広い地域金融機関に商品提供を行うことができ、これにより新生銀行にとっても提供できるファイナンスのキャパシティが増大し、収益機会も増えるものと考えております。SBIHDグループの資本業務提携先をはじめとする地域金融機関においては、収益力強化のためかかるシンジケートローン(各種アセットクラスへのファイナンスにおけるシニアローンや、買収ファイナンスにおけるLBOローンなど)への参加ニーズは強く、また、例えば新生銀行にとって中核事業の一つである不動産ファイナンスにおいても、地域金融機関の顧客が関与している地方の優良不動産へ新生銀行のファイナンス機能を提供することで、新生銀行の新たな収益機会に繋がり得ると考えております。このように、SBIHDグループが新生銀行のプロダクトと資本業務提携先をはじめとする地域金融機関をつなぐことで、双方に収益機会が創出されるものと考えております。

プリンシパルトランザクションにおける連携
 新生銀行グループのプリンシパルトランザクションズ事業は、中堅・中小企業を対象にプライベートエクイティ業務、事業承継業務などを行っておりますが、そのセグメント利益は2018年度の53億円から2020年度の34億円へと減少傾向です。SBIHDグループにおいても、SBIインベストメント株式会社をはじめとして様々なアセットマネジメント事業を展開しておりますので、投資機会の連携やノウハウの共有等を通じて相互に生産性を向上させることが期待できるとともに、SBIHDグループの資本業務提携先をはじめとする地域金融機関の顧客企業に対する支援策の一つとして、例えば、新生銀行が地域金融機関の顧客企業のために組成するシンジケートローンへの地域金融機関の参加といった形で、新生銀行が有する商品・サービス及び資金力が活用できれば、新生銀行にとっては新たな投資案件となるとともに、地域金融機関にとっては顧客企業の活性化・成長支援につながるという意味で、双方にとって新たな収益機会を生むものと考えております。新生銀行は、良好なリスクリターンが見込める投資機会は限定的であると述べられておりますが、SBIHDグループは、投資先の発掘力、フルハンズオン型支援体制の構築ノウハウを有しております。例えば、SBIインベストメント株式会社における2021年3月期のディールソーシング実績はソーシング2,350社、デューディリジェンス415社、投資実行78社、2021年9月末までの投資実行累計1,023社と幅広くソーシング(事業会社と共同で設立したコーポレートベンチャーキャピタルファンドを含む)を行っており、成長分野への投資ノウハウや投資先の企業の事業ステージに応じた戦略立案、役員派遣、内部管理体制の構築、海外進出支援等のフルハンズオン形式による積極的な支援を行っておりますので、SBIHDらとの協業を通じて、新生銀行が有しないSBIHDグループ内の独自の支援体制を活用することが可能となり、企業価値向上につながるものと考えております。

リース事業の強化
 新生銀行の連結子会社である昭和リース株式会社は、大手総合リース会社との競合が比較的少ない中堅・中小企業を中心に営業活動を展開し、各メーカー・商社など幅広いサプライヤーと密接な関係を構築していることから相応の競争力がある会社と理解しておりますが、営業資産残高は、2019年度末に5,655億円であるのに対し、2020年度末には5,546億円と減少傾向となっています。当然のことながら優越的地位の濫用とならないようにすると共に、公正な条件とすることを前提に、SBIHDグループの資本業務提携先をはじめとする地域金融機関の取引先へ導入機会を積極的に提供することで、地域金融機関にとっては顧客企業の活性化・成長支援につながるものと考えております。また、SBIHDグループでは航空機や船舶等のオペレーティングリース商品を組成し富裕層向けに提供しており、当該商品を新生銀行グループの顧客にも提供することで、新生銀行では取扱商品が拡大し顧客利便性が向上するとともに営業基盤の拡大となり、企業価値向上につながるものと考えております。

事業承継に係るビジネスでの連携
 SBIHDグループでは後継者問題を抱える日本国内の中小企業への投資を目的とした事業承継ファンドを設立しております。本ファンドの出資先及び事業承継問題を抱える地域金融機関の顧客企業に対して、新生銀行が融資やM&A仲介等のサービスを提供することによって事業承継問題を抱える企業の今後の事業継続と業容拡大を支援することを考えております。これによって新生銀行と地域金融機関の双方のビジネスの拡大が図ることができるものと期待しております。

 このように、SBIHDグループの資本業務提携先をはじめとする地域金融機関と新生銀行の協業により新生銀行の企業価値向上に貢献し得ると考えておりますが、SBIHDらにおいてはこれまでの実績としても、SBIHDグループが出資している各地域金融機関において、SBIHDグループからの出資後、以下の通り業績の改善を実現しております(2020年3月期以前に資本業務提携を行った先)。

<コア業務純益>(注)(単位: 億円)

(注)コア業務純益=実質業務純益 – 国債等債券損益

 なお、SBIHDグループは地域金融機関との「連合構想」を推進しております。また、地方創生を推進するための活動主体として地方創生パートナーズを設立しており、新生銀行も株主として参画いただいております。新生銀行に地域金融機関への出資をご検討いただくことは、現時点では想定しておりませんが、地方創生に資する場合、かつ新生銀行の収益力改善と企業価値向上に資すると考えられる場合で、特に自己資本比率等の財務健全性に支障がなく、新生銀行の少数株主にとって不利益をもたらさないと新生銀行の取締役会において判断される場合には、その時点で相手先となる地域金融機関の意向を踏まえて、地域金融機関への出資も一案と考えられます。

<預金保険機構からの質問>
2. 新生銀行がSBIHDグループに入ることによってSBIHDグループに生じる企業価値の向上についてどのように考えているかお示しいただきたい。また、その企業価値の向上について新生銀行の少数株主も利益を享受するために、SBIHDグループ内での新生銀行の位置づけについて今後のグループ内での資本関係を含めてどのようにお考えかお示しいただきたい。

<公開買付者の回答>
 SBIHDグループは、SBIHD傘下に金融サービス事業、アセットマネジメント事業、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業にわたる多種多様な事業を抱え、2021年度上半期においては全ての事業セグメントにおける売上高が過去最高を更新するなど、急成長を続ける企業体です。一方で、新生銀行は、SBIHDグループが有しておらず事業補完が期待できるノンバンク事業に強みを持ち、フルバンキングで幅広いプロダクトを有するため、新生銀行にはSBIHDグループの中核銀行として、多様な事業を営むSBIHDグループ各社と連携しながら各機能を提供いただき、シナジー効果を通じてSBIHDグループの企業価値の向上につながることを想定しております。
 すなわち、本公開買付けによる新生銀行株式の追加取得により、新生銀行が連結子会社としてSBIHDグループに入ることで、新生銀行グループとSBIHDグループの経営資源の有機的結合が実現され、協業による相互の事業分野の補完、クロスセルによる顧客基盤の拡大と収益力の強化等を通じて、両グループのシナジー効果を強力に働かせることが可能となります。SBIHDグループは、三井住友信託銀行との合弁会社(双方50%出資)のインターネット専業銀行である住信SBIネット銀行株式会社を有しておりますが、同行は2021年10月8日に上場申請を行っており、上場が承認された場合には上場に伴うSBIHD持分比率の低下が見込まれ、また、自主性・独立性を高めた事業運営を実施することになります。インターネット専業銀行である住信SBIネット銀行と実店舗を持つ新生銀行とは事業形態や商品のアプローチ、商品性に違いがあり、新生銀行のグループへの参加はSBIHDグループにとって全く新しい成長ステージに入っていくことを意味します。
 なお、公開買付届出書に記載の通り、本公開買付けが成功した場合には現在SBIHDが保有する新生銀行株式の全持分を公開買付者に移管する予定です。その結果、公開買付者がSBIHDグループにおける新生銀行の全株式を保有することとなります。

SBI証券との銀証連携を通じた企業価値向上
(i)リテール分野での連携(同時口座開設、預金連携、金融商品仲介など)
 SBI証券は、株式、投信、FXなど様々な金融商品を取り扱っており、オンライン証券として、個人株式委託売買代金シェア、預り資産残高、営業利益いずれも競合他社比トップ(2021年度上半期実績)となっているとともに、銀行との同時口座開設や預金連携を行っている実績・ノウハウを有しております。新生銀行のリテール口座において、かかるSBI証券との間で、口座の同時開設や預金連携等が実現することで、新生銀行顧客における利便性が向上するとともに、SBI証券の顧客からの新生銀行への送客も実現でき、近年減少傾向である新生銀行のリテール口座数増加につながると考えております。また、新生銀行においては、窓口で投信を販売しており、投資信託の預り資産残高は2018年度の3,184億円から2020年度の2,563億円へと減少傾向であるところ、SBI証券との金融商品仲介業にかかる提携によって、販売できる商品等が増え、新生銀行の顧客に対して幅広い提案を行うことができるようになり、収益強化につながると考えております。さらに、新生銀行子会社が組成した仕組債や投資信託等をSBIHDグループのリテール顧客へ販売することを通じて収益強化に貢献できると考えております。新生銀行は、リテール口座の増加のみでは必ずしも利益水準の増加に繋がらないと述べておりますが、上記のようにSBI証券と新生銀行との銀証連携は、顧客利便性を大きく高めつつ相互送客によりリテール顧客の増加を図ることで、収益の質と量を同時に高め、両社の企業価値向上につながるものと考えております。

(ii)法人カバレッジの強化
 SBI証券においては事業法人顧客との関係を強化しており、既に高い引受関与率を誇るIPO(新規公開)に加えて、PO(公募・売出)や債券引受などにも注力するとともに、M&Aアドバイザリー部門を強化し、多角的な提案を行う体制を構築しています。一方、新生銀行の法人営業においては業務粗利益が2018年度の168億円から2020年度には149億円に減少するなど、収益が低下傾向となっております。SBI証券の事業法人顧客に対して新生銀行の銀行サービスを提供することで、銀証連携した事業法人に対する包括的なカバレッジ体制が実現し、両社の収益及び企業価値向上につながるものと考えております。

SBIHDグループのノウハウを活用した新生銀行事業の強化
(i)消費者金融(小口ファイナンス)分野での連携
 SBIHDグループは、SBI証券において25歳以下の顧客を対象に国内現物株式の手数料の実質無料化を行っているほか、投資初心者や若年層をターゲットにしたスマートフォンでの取引に特化した株式会社SBIネオモバイル証券を設立し、SBI FXトレード株式会社におけるFX取引、SBI VCトレード株式会社における暗号資産取引などのサービスを手掛けています。一方、新生銀行グループにおいては、「レイクALSA」、「カードローンエル」等の無担保ローンや個品割賦、信用保証や家賃保証、クレジットカードやプリペイドカード等の事業を行っております。これらのSBIHDグループのネット証券やスマホ証券分野と新生銀行の小口ファイナンス分野とにおいては、いずれも顧客層が若く、顧客ニーズに応じた商品の相互供給・送客(クロスセル)を行うことにより若年層の顧客にも収益基盤を拡大する収益機会があると考えております。また、かかる若年顧客層は、将来的なライフイベントでの収益機会を生み、長期的な収益力の向上に寄与すると理解しております。
 また、SBI証券は、資産形成を目指す顧客層の決済の便宜に資するものとして、2021年6月からクレジットカードで投資信託を積立購入することが可能なサービスを提供しており、約半年間で数万件の送客を実現しております。このようなクレジットカードを利用した投資信託の積立購入については、クレジットカードを日常的な決済のために利用する顧客層のみならず、資産形成を目指す層にアプローチできるという点で新生銀行の既存顧客層とは重複が少ないと考えられ、また、株式会社アプラスが最も多く発行しているクレジットカードがTポイントプログラムとの提携カードであり、SBI証券が同プログラムを導入しているという親和性も考え合わせると、株式会社アプラスにおけるクレジットカード顧客及びその利用の拡大に資すると考えております。
 さらに、資金ニーズのある新規顧客の獲得費用及び与信費用の低減が課題となる中で、精度の高い与信判断やマーケティング等を実現するためにはビッグデータを保有することも重要であると考えており、クロスセルを通じて両社のデータが蓄積されることで、新生銀行グループにおいても与信判断やマーケティングの精度が高まり、コストの削減に寄与すると理解しております。
 このように、銀証連携によるシナジー効果は様々な観点で考えられ、両社の収益及び企業価値向上につながるものと考えております。

(ii)SBIアセットマネジメント・グループ、SBIリクイディティ・マーケットでの資金運用による年間収益の改善
 新生銀行の有価証券の運用は満期保有債券(国債)を含めた国債、社債、外債を中心とし株式保有が非常に少ない、極めてオーソドックスな運用ポートフォリオと推察しております。その一方で、運用利回りは2021年3月期において0.58%と大きく低下している状況であり、今後の債券の償還スケジュールを加味すると更なる利回りの低下が予想されます。新生銀行における現状の銀行勘定金利リスク管理(IRRBB: 4.4%)や規制資本比率(11.3%)なども勘案すると、利回り改善の余地は大きいと考えられ、SBIHDグループの資産運用会社であるSBIアセットマネジメント・グループ株式会社の知見も活用して、新生銀行の有価証券ポートフォリオの入れ替え等を行うことで、十分な自己資本水準及び資産運用の安全性を堅持しつつ、運用収益の向上が可能であるものと考えております。
 また、SBIHDの子会社でグループ為替事業を統括するSBIリクイディティ・マーケット株式会社は、欧米・国内の主要金融機関31 社のカウンターパーティを有しており、SBI証券、SBI FXトレード株式会社等のリテール顧客向けFXのほか、グループ内の実需(外貨調達、オプション・デリバティブを用いた運用、ヘッジ等)やファンド、国内外金融機関(地域金融機関等を含む)などからの多様な為替フローを取り扱っており、年間外国為替総取引金額(2020 年度)で10 兆ドルを超えるまでになっていることから、その豊富な取引流動性をもとに、価格競争力のあるスプレッドでの為替取引機会を提供することで、新生銀行及び新生銀行を通じて為替取引を行う取引先の外国為替取引コストの抑制が可能となることなどが考えられます。

(iii)SBIHDグループの有する住宅ローン関連のノウハウ提供による、リテールビジネスの再強化
新生銀行においてもリテール顧客向けに住宅ローンを提供しておりますが、過去長期にわたりその残高はほぼ横ばいとなっております。一方、SBIHDグループにおける住宅ローン取り扱い残高は着実に伸長しております。SBIHDグループは住宅ローンプロダクトに関する深い知見とノウハウを有しており、これらの知見・ノウハウを新生銀行のリテール事業にも活用することで、かつて高い顧客満足度を誇った新生銀行のリテール事業を再強化し、収益の柱とすることが可能であるものと考えております。

(iv)株式担保ローンの開発・提供
 利益相反管理及び取引条件の公正性を前提として、株券等を担保に貸し出しを行う株券担保ローンでの協業や、新生銀行と株式会社NTTドコモが行っているドコモユーザーに対する貸付に関するサービスと同様のサービスをSBIHDグループの顧客に対して開発提供すること等を通じて、相応のクロスセル効果、シナジー効果を発揮できると考えております。

(v)共同店舗運営による金融商品仲介での収益貢献
 SBIHDグループにおいては、資本業務提携先を含む地域金融機関とSBIマネープラザを共同店舗として運営(14行22店舗)しており、その預り残高や収益は飛躍的に拡大しております。かかる実績のある取り組みを新生銀行(22支店・3出張所)と行うことで、金融商品仲介を通じた新たな収益機会を新生銀行にも生み出し得るものと考えております。
 上記のようなシナジー創出が双方に見込まれる各種施策の推進により、現時点においてはSBIHDグループに入ることで新生銀行に下記のような収益拡大及び企業価値向上が見込まれるものと初期的に考えております。

業務粗利益>(単位: 億円)
実質業務純益>(単位: 億円)
親会社株主に帰属する当期純利益>(単位: 億円)

 また、以下の通り工藤社長就任日である2015年6月以来、新生銀行(旧日本長期信用銀行 1952年設立)の時価総額は約半分となっている一方で、SBIHD(1999年設立)の時価総額は約1.8倍まで成長しております。SBIHDらとしては、公開買付者と新生銀行との最大の違いは経営思想、経営戦略及びその実行力の差であると考えており、市場からもこの点が評価されてきたと自負しております。

新生銀行とSBIHDの時価総額の推移

(注):2015/6/17時点の時価総額を100%として指数化して表示

<ご参考:住信SBIネット銀行、SBI貯蓄銀行の業績推移>

住信SBIネット銀行

SBI貯蓄銀行

 一方、本公開買付け後においても上場企業として存続する新生銀行の少数株主の皆様への配慮、特に、上記のような取り組みを通じて新生銀行としての企業価値向上も実現され、少数株主の皆様へもシナジー効果の果実が正当に分配されることは当然であるものと考えております。
 SBIHDらといたしましては、新生銀行の機関銀行化や同行の少数株主利益の毀損といった事態は、決して発生してはならないものと認識しており、そのような疑念を生じさせるような所作に及ぶことは全く想定しておりませんが、そうした事態が万一にも発生することのないようにするために徹底した利益相反管理を行うという観点から、下記のような体制を採ることを想定しています。すなわち、新生銀行とSBIHDグループとの間の重要な取引の決定に際しては、当該取引が新生銀行の少数株主にとって不利益をもたらさないかについて過半数の独立社外取締役を含む独立性を保った新生銀行の取締役会において慎重に審議・検討を行うとともに、アームズ・レングス・ルールを原則とし、市場規律に基づき取引条件を適切に決定し、またSBIHDグループの社内取締役又は従業員及び、それらの経歴を有する者などSBIHDグループと関係の深い役員はSBIHDグループと新生銀行との間の取引について新生銀行内の意思決定に関与しないなど、SBIHDグループとの十分な利益相反管理体制を敷くことで対応することを想定している他、本公開買付けにより新生銀行がSBIHDの連結子会社となった場合には、SBIHDグループと新生銀行との取引に関しては、新生銀行において独立した委員からなる特別委員会を設け、同委員会において事前の審査及び事後のモニタリングを行うことで利益相反管理体制に遺漏無きを期すこととしたいと考えております。SBIHDグループ内においても利益相反管理体制は徹底しておりますが、新生銀行グループとの間の取引について厳格な手続きを採ることは、新生銀行にとっての利益拡大ひいては少数株主の利益拡大に資することはあってもこれを減殺するものではないと考えております。
 このように、新生銀行にはSBIHDグループにおける中核企業の一つとなっていただき、シナジー効果によりSBIHDグループとして利益を享受するのみならず、新生銀行の企業価値も向上するとともに、その利益は少数株主の皆様にも正当に分配されることをお約束いたします。

<預金保険機構からの質問>
3. 新生銀行の取締役会の構成については、少数株主を含めた株主全体の利益を代表するものになるかが極めて重要であるほか、金融機関としての安定性の観点からも極めて重要であると考えられる。この点、SBIHDらは、3人の取締役候補を推薦した上で、独立社外取締役を取締役会の過半とするとしているが、独立社外取締役を真に独立したものとするための選定方法や、社内登用の可能性を含め、SBIHDらが支配株主となった場合の新生銀行の取締役会の構成にかかる見解をお示しいただきたい。

<公開買付者の回答>
 本公開買付届出書に記載のとおり、守秘性の観点から、本公開買付けの公表・開始前には新生銀行の社外取締役候補者となりうる人物との十分な接触を行っていないため、現時点においては独立社外取締役の具体的候補者名を挙げることはできませんが、ガバナンス体制強化の観点から独立社外取締役が取締役総数の過半数となる体制といたします。
 また、独立社外取締役がSBIHDグループから真に独立した人物で構成されることを担保すべく、独立社外取締役が過半数を占める任意の指名報酬委員会等において、取締役候補者を推薦する体制を採用いたします。
 なお、SBIHDらは、本公開買付けが成功した場合は、新生銀行の企業価値向上を可能とする新たな役員体制を構築するため、臨時株主総会の招集を請求し、新生銀行の役員選任議案を諮る予定です。同株主総会において取締役候補者として推薦する業務執行取締役3名については本公開買付届出書記載のとおりですが、独立社外取締役の候補者については、SBIHDらの独自の裁量で選定するのではなく、本公開買付け成立後速やかに、新生銀行とSBIHDらとで独立社外取締役選定委員会を組成した上で透明かつ客観的なプロセスを経て選定することを新生銀行に提案する予定です。同委員会は、SBIHDら及び新生銀行の現任取締役から独立し、十分な識見を有し、公正・中立と客観的に評価される人物を法曹界から招き委員長とし、SBIHDら及び新生銀行がそれぞれ1名ずつ推薦する委員によって構成することを想定しております。かかる委員会において、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」及び経済産業省の「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を尊重しつつ独立社外取締役の候補者を選定することにより、当該臨時株主総会における独立社外取締役選定の公正性・中立性を担保することを考えております。

 また、新生銀行の持続的成長と企業価値の最大化、また新生銀行の円滑な事業継続の観点から、新生銀行のステークホルダーの意向も踏まえながら、独立社外取締役の過半数を維持しつつ、SBIHDらが既に提案しております業務執行取締役(社内取締役)に加え新生銀行の業務執行者からも若干名の業務執行取締役の選任を行うことは十分ありうるものと考えております。

 なお、SBIHDらとしましては、2021年11月25日に予定されている新生銀行の臨時株主総会において、新生銀行が提案する「新株予約権の無償割当ての件」が新生銀行の株主の皆様によって可決され、買収防衛策が発動された場合には、本公開買付けを撤回いたします。またその場合、SBIHDらが現在保有している株式に関してはマーケットの状況を踏まえ、完全売却を含む様々な選択肢を検討してまいります。SBIHDらは明確にシナジーを示し十分なプレミアムを含む公開買付価格を提示した戦略的投資家です。SBIHDらにおいては、本買収防衛策はかかる公開買付者による資本市場における正当な取引を、経営者の保身目的で否定することを企図したものであると引き続き考えております。本公開買付けが成功した場合は、臨時株主総会において新生銀行の企業価値向上を可能とする新たな役員体制を構築し、SBIHDグループと新生銀行グループの間の事業上の提携関係の構築・強化を含む具体的な企業価値向上策に関する検討を新生銀行と開始し、利益相反防止体制を前提に新生銀行に十分検討をいただいた上で、順次実行する予定です。
 なお、本公開買付届出書に記載の通り、SBIHDらが本公開買付けにおける買付予定数の上限をSBIHDらが既に保有する持分と合わせて48%となる株式数にした理由は、新生銀行における早期の経営改善が急務である中、銀行持株会社認可を取得する場合には一定の時間が必要であるため、経営刷新を早急に図ることが難しくなると判断したためです。このため、本公開買付けが成功した場合には、SBIHDらとしてはまずは新生銀行の企業価値向上に向けた努力に注力いたしますが、新たな役員体制の下で新生銀行の企業価値向上への道筋がついた段階で、当局の理解が得られれば、必要な銀行持株会社認可を取得した上で、一般株主の利益に十分配慮した形で、過半数以上の株式を取得することを検討する考えです。

以上