2025年7月1日
SBIインベストメント株式会社

 SBIグループのPE投資事業の中核企業であるSBIインベストメント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員会長兼社長:北尾 吉孝、以下「当社」)は、生成AI技術を活用した次世代型ベンチャーキャピタル(VC)体制の構築を目的として、「AI-VC準備室」を2025年7月1日付で社内に設立したことをお知らせいたします。

設立の背景と目的
 当社はこれまで、「新産業クリエーター」として、革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップへの投資・育成を通じて、持続可能な社会の実現を志向してまいりました。2021年に組成した「SBI 4+5ファンド」、2023年に組成した「SBIデジタルスペースファンド」などを通し、AI、ブロックチェーン、Fintech、ロボティクス、ヘルスケアなど多様な成長領域において、投資活動を積極的に展開しています。
 そのような中、近年の生成AIを中心とする技術進展は、業務効率化にとどまらず、VCというビジネスそのものの構造を問い直す段階に入っていると当社は捉えています。案件発掘や分析はもちろん、価値評価、支援設計、起業家との対話に至るまで、AIによる再設計が可能な時代が到来しています。
 すでに海外の複数のVCでは、生成AIをアソシエイト業務の代替や意思決定の補完に活用する事例が広がっています。
 起業家や経営陣との対話が重視されるVC業務こそ「人間ならではの感性と関係構築が重要」という声が根強くある一方で、データドリブン型に大きく舵を切る動きも進んでおり、業界全体としても従来の在り方を見直す動きが広がりつつあります。VC業界は今、大きな転換点を迎えています。
 こうした環境を踏まえ、当社は生成AIを本格的に取り入れた「次世代VC体制」への移行を進めるべく、「AI-VC準備室」を新設するに至りました。

AI-VC準備室の概要と役割
「AI-VC準備室」は、組織横断的な取り組みとして、生成AIの利用やVC業務の効率化にとどまらず、「スタートアップ」「LP(出資者)」「VC」の三者にとっての価値創出を志向し、VC業務の再設計を行うべく、以下の3つの柱を中心に活動してまいります。

1. スタートアップへの支援の高度化
 生成AIを活用し、起業家の構想や強みに即した理解と対話を志向し、多様な視点を踏まえた提案と関与を通じて、資本提供だけにとどまらず、信頼される支援関係の構築を目指します。
2. 投資判断とモニタリングの高度化
 定量・定性データを統合し、納得性と透明性を備えた運用基盤の構築を目指します。
あわせて、スタートアップとLPの協業・アライアンスを含む戦略的な連携機会の創出も志向します。
3. 組織学習と知見の可視化
 属人的・暗黙知に依存しがちなVC業務を、生成AIを通じてナレッジ化し、スタートアップ支援や投資判断の質が持続的に高まる組織運営を目指します。

今後の展開
 本準備室では、まずは社内業務プロセスの再設計・PoC(Proof of Concept:概念実証)を順次進めてまいります。同時に、スタートアップやLPの声を積極的に取り入れながら、AI開発・スタートアップ支援・LPリレーションに通じた人材や外部機関との連携体制を構築・拡充し、人とAIが協働するあり方を模索し、段階的な試行を通じて、「次世代VC体制」への移行を推進します。
 本組織の設立を契機に、当社はスタートアップ・LP・VCの三者にとっての新たな価値を追求するとともに、「新産業クリエーター」として21世紀の中核的産業の創造と育成を担うという当社の理念のもと革新的技術の導入を通じて、投資活動の高度化と社会的便益の最大化に一層注力してまいります。

以上